2016年4月13日水曜日
トラック転生がすでに最適解として収束している可能性
昨今の小説は背景の世界は安易にゲームを下敷きにしているし、あげくになんの取り柄もない主人公がトラックに轢かれて異世界に転生して無双するという、同じような内容で実に嘆かわしい。若者はもっと向上心を持つべきである...
∧∧
(‥ )...と熱弁する人が批判する
\− いわゆるトラック転生
(‥ )まあ安易なのは
確かかもね
だがしかし、安易だという事、それ自体がすでに重要な示唆となっていないだろうか?
∧∧
( ‥)安易だということはつまり
それが最適解なんじゃないの?
という可能性
(‥ )安易とは例えるなら
位置エネルギー0
つまり”腑に落ちる”状態
皆がありとあらゆる可能性を試したであろう。例えば超常の存在が主人公に力を与えてくれる。それはウルトラマンであったり、あるいはドラえもんである。
あるいは、主人公はひょんな事故によって超常の力を偶然に得る。それはスパイダーマンかもしれない。あるいは巻き込まれて異世界に旅立つ、月世界最初の人間のような事例もあろう。
あるいは、主人公は選ばれし勇者として異世界に選ばれる。指名されて地球代表として戦うこともあれば、異世界を救う勇者になったりする。
あるいは単に星を眺めていたら火星にいたってこともある。
こうしてあらゆる冒険の糸口が試された。
これだけ試されたのである。なれば、物語はすでに最適解に収束しているのではないか?
∧∧
(‥ )トラック転生とやらは
\− ありうるあらゆる可能性の
最適解ではないだろうか?
(‥ )多分そうなんだろうな
ふと思った。例えばもしもおっさんが転生したらどうなるだろうか? もちろん、口うるさい評論家どもの意向にそって、トラックとかは無しである。
∧∧
( ‥)なんだ老衰で死んだじじいが
目覚めたら回春して
女の子とハーレムか
(‥ )駄目だな
というか犯罪臭ぷんぷん
せめてもう少し若いおっさんが死んだ、というのならどうか?
∧∧
( ‥)死因はなんだよ?
過労死か? ガンか?
(‥ )駄目だな
見てて悲しい
若者が不慮の事故で死に、その無念の対価として現世の苦しみから逃れられるから、冒険が正当化されるのである。おっさんでは駄目なのだ。おっさんでは対価が少なすぎる。
そもそも物語はボーイ・ミーツ・ガールである。
∧∧
(‥ )おっさんが転生して
\− たとえ若返ったとしても
そっから先の恋は
どんなに純愛であっても
職場の新人OLとの
不倫でしかないよね
(‥ )若者
突然断たれた人生という
重い代償
その対価としての英雄
そして同い歳との恋
すなわち、トラック転生は、この条件を満たす、すでに収束された最適解なのであると。
これを笑う時、お前は現実を笑い、それゆえに現実に殺される運命を選んだことになるであろう。