2016年3月14日月曜日
仮説が変われば方針もまた変わるだろう
自分の本で見る限り、図書館での借り上げと、書店での売り上げに関係性があるようには思えない。
=>hilihiliのhilihili: 役に立たない春先の話
あるいは、関係があったとしても、重版とかそういう目で見える違いにはなっていない。つまり違いが存在しても、それは無視できるレベル。
∧∧
(‥ )だとすると
\‐ 図書館における
新刊本の貸し出しを禁止すれば
新刊本の売り上げが上がるはず
という予測は間違いではないか
(‥ )まあそういうことになるな
だがこれ、次のことも言えよう。
人は曰く、図書館での本の貸し出しは変わらないか増えている。つまり本を読む人はちゃんといるのである。
それにも関わらず書店での本の売り上げが落ちているということは、出版界になにか根本的な問題があるのではないか?
∧∧
(‥ )これも実は関係ないって
\‐ ことになりますなあ
(‥ )図書館の貸し出しと
書店の売り上げに
因果関係がないのなら
この解釈もまた
成り立たない
図書館の貸し出し数をもって、書店の売り上げを論評することができぬとあれば、図書の貸し出し数をもって出版不況を論ずることもまたできぬ。
∧∧
(‥ )そして今
\‐ 本のタイトルの
一点一点の売り上げは
落ちているんだけども
(‥ )これは供給過剰が
原因ではないか
だから出版不況が
起きているのでは
ないのか?
という人もいるけど
この場合は因果関係が
逆だろうね
単純に言うと出版社は自転車操業しないといけない。そのために刊行点数を増やした。要するに次々に本を出し続けるのである。
∧∧
( ‥)あなたが駆け出しの
20年ぐらい前から
これは粗製濫造だと
言われてましたよね?
(‥ )それでもそうせざるを
えないのだな
会社を決算上維持するとは
そういうことだし
しかし、書店には有限の大きさしかない。
本の出る速度が速まれば書店に置いてもらえる時間が短くなろう。
∧∧
(‥ )本の寿命が
\‐ じりじりと短くなって
いくのである
(‥ )そりゃ一点一点の
売り上げは落ちるよな
しかも市場全体が縮小を開始して、もうずいぶんになる。どこもかしこも、生き延びるために出版の速度をさらに早めておる。
つまり供給過剰だから一点一点の売り上げが落ちて出版不況が起きた、というのは正しくない。
出版不況が起きているからこそ一点一点の売り上げが落ちた、というのが多分、正しい。
∧∧
(‥ )でもこれ
\‐ 一見すると似ているから
識別しずらいでしょうなあ
(‥ )次々に本を出すのは
確かに供給過剰だからな
一見すると似てるよね
ただ、例えば
市場が一ヶ月に消費できる量より、供給量の方が多い
と
市場自体が小さくなった
はまったく別の問題である。
”供給過剰だから一点一点の売り上げが落ちて、それが出版不況につながっていると考えている人”は、この識別が出来ていないのではなかろうか。
∧∧
( ‥)ただ困った事態には
違いない
(‥ )とはいえだ
一見似ているけども
現実と違ったモデルを
採用した計画は破綻するぞ
例えば、一点一点の売り上げが減ったのは供給過剰のせいだ。だから刊行点数を減らしましょう、と言った場合
∧∧
(‥ )多分、会社が
\‐ つぶれてしまうでしょうね
(‥ )刊行点数を減らさずに
一点一点の売り上げを
増やすにはどうすれば
良いのか?
そこが肝心なのだな
そしてこういう方針の決定において、先の世界観は明白な違いとなって現れる。
刊行点数を減らさずに一点一点の売り上げを上げる。
これは、供給過剰だから出版不況が起こっている、という世界観からは出てこない結論だろう。
∧∧
( ‥)もちろん刊行点数も
減らすべきなんだけどね
(‥ )でもそれ人件費から
見た結論だろ?
供給過剰だから出版不況
という世界観とは
関係ないぞ