2014年7月22日火曜日
地球収縮・地球膨張
∧∧
( ‥)地球収縮説ですか
( ‥)19世紀までは
‐□ 存在した仮説
みたいだね
地球は冷える。だとすると収縮する。
∧∧
( ‥)縮まれば”しわ”ができる
(‥ )つまり山脈が
形成されるわけだ
反対に、地球膨張説、というものもあった。これは70年代、80年代に少しだけ話題になった仮説だ。
∧∧
(‥ )地球が膨張する
\‐ これ自体は理屈の上では
ありうるんだよね
(‥ )地球はそもそも
圧縮されてるからな
地球の密度とマントルと核(つまりカンラン岩と溶けた鉄)の比率、これが合わないのである。マントルと核の大きさとカンラン岩+鉄の重さから計算されて出てくる値が、重力から推論された密度よりも低いのだ。
これはつまり、地球深部における岩石と鉄は、地上におけるカンラン岩と鉄よりも重い密度になっている、そう考えなければならない。
∧∧
( ‥)では、なんらかの形で
物質が相転移を起こすなり
原子の配列が変るなりすれば
密度は減少し、体積が膨張する
つまり地球の膨張が起こる
地球の表面が裂ける
そして大陸が分裂する
まあ、”なんらかの形で”
というのがそもそも
謎だけどね
( ‥)地球膨張説は
‐□ 大陸移動...というよりは
大陸分裂だな
それを説明できる
仮説として
考案されたのだよな
ほんの一時、提案されて、一般書籍ではこの説に触れたものがほぼ皆無であるせいか、ほとんど誰も知らない仮説だ。
*一応書いておくと、地球収縮説と同様、地球膨張説も当然支持されていない。というか、地球膨張説は褶曲山脈の存在や造山運動を説明できたのだろうか? 詳細を知らないだけに額面だけ聞くと、なんとも奇異なイメージだけが先行してしまう。
∧∧
(‥ )でもこの本のシリーズでは
\‐ わずかだけどやや好意的な
紹介をしているのだね
(‥ )プレートテクトニクスに
あまり乗り気でないから
そういう珍奇な仮説に
眼を奪われた
そういう解釈で
見てしまいたくなる
記述だよな
時代の変わり目には色々なことがある、というべきか。
これはhilihiliのhilihili: 教科書が当時すでに時代遅れで駄目になりかけていた事例の続きでもある
*2016.08.17以下追記 地球膨張説の本には「地球の進化-膨張する地球」牛来 1978 大月書店がある。この本は大部分が地球形成や地殻の形成と説明にページを割いており、地球膨張説は最後で触れられる程度ではあるが、地球膨張を扱った数少ない(ほとんど唯一?の)日本語の本である。
当時は大陸移動説が復権し、プレートテクトニクスが盛んになり始めた頃だった。その根拠は海底に残された地磁気を見ると海嶺が左右に拡大したことがうかがえること、さらにひとつの根拠は、拡大し移動する海底が沈み込む場所、例えば日本列島で起こる地震を見ると、沈み込む海底と陸地との境界線で地震が多発するように見えることにあった。
上記の本では、このような地質学的な知見は大陸移動説やプレートテクトニクスによらずとも、地球の膨張と、大陸の分裂、移動(移動というよりは放散)でも説明できるとしている。
さらに言うと、海底が誕生し拡大する場である海嶺と、沈み込み帯が対になるようには見えないこと。これを考えればプレートテクトニクスは破綻している。むしろ地球膨張説の方が整合性がある。このような根拠から、地球膨張説を考察したものだった。
今から考えるとプレートの運動を示すデータがまだ出始めた時代に、これらのデータはプレートテクトニクスよりも、むしろ地球膨張という仮説で解釈した方が良いのではないか、という提案と試みであったように見える。
∧∧
(‥ )一方、地球膨張の
\− 原動力については
圧縮された物質の相転移を
示唆しただけですか
(‥ )大陸移動説も
大陸移動の根拠は山ほど
示せたけど
移動の仕組みについては
うまく説明できなかった
からな
膨張の原動力を
示せなかったこと自体は
地球膨張説の
欠点ではあっても
致命的とまでは
言えないかもね
ただ、後にデータがそろうようになると、プレートの運動は揺るぎないものとなり、地球膨張説の出る幕はなくなってしまったようである。
またこの地球膨張説ではゴンドワナ大陸の分裂など、中生代以降の大陸の移動(地球膨張説なら放散)しか扱っていない。
それと、褶曲山脈をどう説明するのかは読んでも良くわからなかった。地球膨張が山脈の形成において顔を出すのは、せいぜい、地球膨張と地殻の伸展によって深い海が作られ、堆積物がたまるところ程度らしい。多分、当時の造山運動はもともと地向斜で説明されていたから、地球膨張説で山脈の形成を説明する必要がそもそもなかったように思われる。