2014年5月22日木曜日
すべてに背を向けても、まあ、別に良いでしょう
例えばの話、あるラノベを読んだ時、それは3時間で読めたのだった。
∧∧
( ‥)そりゃあ娯楽作品だからね
( ‥)そしてだな、これは
‐□ ラノベなんて俺は
3時間で読めたぜ!
という話じゃないのだ
そのラノベはどんな話なのか? それを知るために買って、登場人物を把握し、台詞を確認し、ストーリーと結末とを確認する。そのために最初から最後まで読み通す。
∧∧
( ‥)こんな読み方まともじゃ
ないよね
(‥ )まともじゃないね
それにだ
どんな小説にも
作者はそれなりに
なにか工夫をこらすものだ
そうである以上、こんな読み方では、そういうところまで読み取れないだろう。不可能とは言わないが、読みがかなり粗くなること確実である。
∧∧
(‥ )でもまあ、仕事の合間に
\‐ 本を読むってのは
あなたにとっては
そういうことだと
(‥ )余計な事に頭を
使いたくなくてなあ
特に〆切の前は
そうなんだけど
漫画を読む事も極力
避けたい
疲れ果ててしまうのよ
同様に、たとえラノベを読む時でも頭は極力使いたくないわけで、そうである以上、読みが粗くなったのはしょうがない。まあ、そういうことにして欲しいものだ。
むしろ問題はである
科学に関する本でベストセラーになった新書があった。興味はないが、ある事情からそれを1日の間に読まねばならないことになった。
∧∧
( ‥)3時間で読めましたよ、と
(‥ )これはな
ラノベと違って
本として言い訳できんのだ
確かに必要があって読むわけだから、こちらの読みも前述のラノベの時と同様に粗い。だがしかし、そもそも本の内容が薄いし、浅いのだ。間違ってもいないが、正しくもない。議論の解像度があまにも粗すぎる。3時間で読めるには3時間で読める理由がある。ここにはそれが確かにあった。
∧∧
(‥ )でもベストセラーだ
\‐
(‥ )あの時だなあ
ラノベを馬鹿にする人間を
どうも信用ならんと
思うようになったのは
まあ、確かに、なんでもトレーニングが必要なので、どうせ読むならもう少し複雑なものを、と言う人の気持ちは分かる。というか当然だ。
問題はだ、レベルが同じものが、片方は低俗な娯楽扱いで、片方は知的欲求をかなる素晴らしい本だと評価されている。この現実。これは一体全体何か?
とはいえしかし、これにも事情があるのだ。特に作り手側には事情がある。
このベストセラーを書いたライターさん、どうも話や噂からすると本人が書いていないらしい。
∧∧
( ‥)そのライターさんは
最初は真面目に
書いていたけど
ある時点から名義を貸して
ゴーストライターさんに
書かせるようになったと
( ‥)それにはさ
‐□ 止むに止まれぬ理由が
あるのだよな
真面目に書くと売れなかったのだ。
不真面目に、てきとーに書くと売れるのである。
だとすれば話は簡単ではないか。ある時点で名声を確立すれば、後は名義貸しで、てきとーなライターに書かせれば良い。むしろ、何も分からないライターが「素人判断だけど、きっとこういうことだよね」と書けば、その方が”分かりやすい本”になるだろう。
なんといっても、素人判断は素人が陥りやすい間違いと思い込みで出来ている。それは読み手の理解にとっても優しいはずだ。正しくはないが。
∧∧
(‥ )科学でも一般向けの本には
\‐ そういうものが
いっぱいあるのだよ、と
(‥ )科学どころか真面目な本の
多くはそんなもんだろう
そしてだな自尊心を
くすぐられたい読者が
それらを買うわけだよ
実はこれ、
みんな幸福だとも言えるが
全員、不幸だとも言える
名義を貸したライターは儲かった
ゴーストライターは満足のいく仕事ができた
購買者は有意義な時間を過ごせた
名義を貸したライターは不満だらけである、全員を軽蔑している
ゴーストライターは自己満足しているが、すべては思い込みだ
購買者の分かったはただの勘違いだ、それは詐欺に引っかかった事と同じ
∧∧
( ‥)そして、そうした人々の
全員ではないが
中には難しい本を読む
俺すげー
ラノベは馬鹿ー
と軽蔑する人もいるだろう
( ‥)うんざりだろ?
‐□ 何もかもに
背を向けるべきだよ