2014年4月6日日曜日
仕事は結局、認識か
考えてみれば、以前は幾人かの人と一緒に仕事をしていた時期もあったのだった。
∧∧
( ‥)とうとう一人になっちゃい
ましたよね
( ‥)みんな、死んだわけじゃ
‐□ ないけども
見なくなったなあ
いや、全員、まだ仕事をしているはずなのだ。例えばの話、バンドが解散したからといってメンバーが路頭に迷って餓死する、ということは、まあ無いだろう。そういう人はなにかしら業界の仕事につくもので、単に見えなくなっただけ、ということでもある。あるいは見えているのに、見ているこっちが感知出来ないだけ、ということも多い(例:メイクを落としてアイドルの後ろでギターを弾いている、あるいは作曲している)。
∧∧
( ‥)それでも、
餓死の可能性が0では
ないだろうけどね
(‥ )とはいえ、
見なくなったから
即座に死亡、という
わけではないのは確か
ああ、でも、消えること、それ自体にはそれなりな理由があるものだ。
例えば、〆切を守らない。
∧∧
(‥ )致命的だね
\‐
(‥ )こだわりを持つ人だから
作業が遅れることもある
つまり、作品の質、
それ自体は高いのだ
でも、〆切の翌日に
上がった仕事は、
もはや
仕事じゃないのだよね
あるいは例えば、枝葉末節にこだわって、全体を破壊してしまう
∧∧
(‥ )本を作る時にこれをやられると
\‐ 困っちゃうよねえ
(‥ )すべての情報は
等価ではない
そうである以上、
優先順位が違うのだ
だが彼は
直すべきを直さず
直さないで良い場所を
直そうとする
優先順位がめちゃくちゃ
なのだね
いや、彼自身は優先順位を見ているのだ。単純に、その優先順位が俺様基準である、というだけの話。
∧∧
( ‥)本はたくさんの人を巻き込む
それなりなプロジェクト
ですからね
俺様基準で引っ掻き回されたら
皆が困りますからね
( ‥)全員がある程度共有出来る
‐□ 事柄に沿って
優先順位をつけ
それに従って作業しないと
いけないわけよ
誤字脱字でもなく、文法上の誤りでもなく、科学的誤りでもなく、科学におけるスタンダードな仮説でもなく、単に俺はこういうことを言いたいのだ、だから変えろ! では困る。
そしてあるいは
病気になって体を壊した
∧∧
(‥ )不可抗力だけども
\‐ やはり致命的だね
(‥ )仕事を発注する側から
すると、
当たり前の話だけども
遠慮しちゃうのだよね
怖いよなあ
相手に遠慮されたら仕事はこなくなる。仕事がこないと知名度が上がらない、知名度が上がらないと相手に認識されない以上、仕事はこなくなる。
これは典型的な悪循環。
∧∧
( ‥)先の〆切を守らない
枝葉末節にこだわって
仕事の流れを破壊する、も
基本は同じですね
(‥ )相手に遠慮されて
しまうのだ
まあ、正確にいうと
敬遠されてしまう
わけだけどね
そうねえ、そういう意味では仕事とは、認識、なんだとも言える。
∧∧
(‥ )飲み会にこなかった、
\‐ というのもあるよね
(‥ )これを言うと、
単なる飲みニケーション
じゃないか、
出版界もやっぱりコネだ!
と怒る人もいるけども
それは勘違いだよな
なんでかというに、これは単に”忘れられる”という話だからだ。
いつも同じ職場にいる、というのならともかく、その場、その場で仕事を請け負っているような間柄だと、忘れられてしまうことは痛い。
∧∧
( ‥)結局は認識の話だね
( ‥)イラストレーターとか
‐□ 腕が良い人間は
他人からどう認識されるか
ということに関して
おろそかだからね
それは本来、そうであるべきなんである。他人の視線など気にしないで没頭することが腕の上達や観察力につながるという意味では。
∧∧
( ‥)問題はですよ
(‥ )腕が良ければ仕事がくるか
実はそうではないのだな
うまい、というのはある必要性に沿った評価でしかない。別の必要性のもとでは、同じように評価されない場合もある。
例えば萌えな女の子とリアルイラストな女の子では需要に明らかな違いがある。萌えを期待されている場面でリアルイラストを見せて、どうだいすごいだろう? では明らかに駄目だ。
∧∧
(‥ )腕が良ければ
\‐ 仕事がくるわけでは
ありませんよと
(‥ )腕が良いとはその時点で
危険だとも言えるよね
すでに選択肢を
狭めているわけだからね
どうだい、うまいだろう?
ああ、うまいよ、でも、それ自体が諸刃の剣なのだ。それは、その実力を評価してくれる、ではなくて、その特異な実力を必要としている、というところからしか仕事がこなくなることを示している。
∧∧
( ‥)うまいには普遍的な部分も
あるけども、
そこはみなさん共通で
差別化にはならない
差別化できるうまいは
むしろ個性の話になる
必然的にそのうまいは
つぶしの効かない
特異なものになり
そうなると自動的に
取引先が限られてくる
(‥ )そういう特異な
うまいものを必要とする
市場はそんなに大きくない
当たり前だよね
そういう時に
敬遠される
認識されなくなる
忘れ去られる
そういうことをしてしまう
これは痛いよなあ
ただでさえ大きくない市場を自分でさらに狭めたのだ。最悪の場合、その特異な仕事を必要としている特異な分野から細々とした受注を受けるしかなく、必然的に買いたたかれることになるだろう。