2013年12月20日金曜日
無様なり知性の宮殿
プラトンのように賢しいおっさんは無駄に公理体系を作るのが好きだ。
あるいは好きらしい。
∧∧
( ‥)さながら知性の宮殿
(‥ )そう言うといかにも
すごそうだけど
実態は思い込みの宮殿
ただのガラクタだな。
科学では、むしろ宮殿を破壊して、これまでの宮殿では出来なかったことをした人の方が評価される。
科学の最前線は、分からん、何度見ても分からん、こうじゃないか、ああじゃないか、であって、分かったじゃない。分かったは科学が通過した後にある残りかすみたいなもんだ。分かったで満足しているなんて、それは死体と同じだ。方程式をいじっているぐらいで満足するなんて、それはただの算数だ。
知性の宮殿なんて、そんなもの、人生のごみかす、あるいはごみかすのようだったそいつの人生の残骸でしかない。
∧∧
(‥ )人は印象的だった事柄から
\‐ 考えを導きだす
(‥ )自分にとって印象的だった
ことというと、あれだな
SFは科学であるべきだ
と主張していた人が
ダーウィニズムを全然
理解できていなかった
ことだな
∧∧
( ‥)そこから解釈するに?
( ‥)SFは認識でしかない
‐□ 便宜的な概念で存在しない
枠組みとしても有効でない
だがそれを認識して
その認識を絶対と考えて
そこから理路整然と考えを
導きだす
典型的ななんちゃって公理主義者(とでも言えばよいか)
彼の理解は壮大な知の宮殿だががらくただ。
∧∧
(‥ )分類の好きな人でしたよね
\‐ 分類階級を延々と書くのが
好きな人でした
(‥ )分類階級ってのは
図書館の十進法分類と同様
便宜的な位置決め、
整理整頓の技でしか
ないんだけどな、
彼はそれを知って言えば
分かった気になると
信じていたんだな。
だが残念。分類階級ってのは、これもまた実在しないんである。少なくともダーウィンが偉大だったのは分類と分類階級の根本、種が実在しない、ということを前提に理論を構築した点にあった。
彼の功績のひとつは、分類階級を破壊して、連続する系統を得た点にある。
∧∧
( ‥)世界は連続する系統であり
種は便宜的な概念でしかない
この理解に立った時に、
生物学は新たな領域に
入ることができたと
(‥ )厳密に言うとダーウィンは
生物学者ではなかったし
その発想の根幹は
地質学だし、
そもそも分類に頼る
生物学は
進化理論とそりが合わない
学術分野だと思うけどね
ともあれ、そこから、あるいはこれがゆえに新しい領域が始まった。
しかし、先の彼はこれが理解できない。
公理体系のように並んだ分類階級を把握すれば理解できたと思い込んでいた彼には、これがまったく理解できない。
どちらの理解も理解ではあるが、彼にとっては自分の理解が正しいのであった。
系統は連続ではなく、彼が認識する種というカテゴリーに分解されねばならぬ、そのカテゴリーこそが理解のための画素なのだ。
理解には画素が必要であり、画素に基づいた理解は進化理論を否定していた。
∧∧
( ‥)知性を持ったデジカメが
画素というありもしない
認識で現実を理解しようと
試みる時におかしなことが
起こるように
(‥ )分類階級と種を
理解の基礎として
知性の宮殿を築いた彼は
ダーウィニズムが
理解できず、
今西進化論に走り、
あるいは断続平衡説に
傾倒した。
どちらのトンデモ仮説も種から種への瞬間的な転移を前提としているからだろう。画素が存在する世界では画素から画素へ瞬間的な移動が必要であるように、彼の理解では今西進化論と断続平衡説こそが正しい理解に見えたのだ。
∧∧
(‥ )でも、それは自分の認識が
\‐ 実在するという前提に
基づいた、
虚構でしかなかった
(‥ )無様だろう?
これが知性の宮殿を築いた
報いだよ
分かった、とはなんと愚かしいことか。
そして、おっさんはすぐに知性の宮殿を作りたがる。まるで自分の駄目だった人生は、無駄ではないのだ、と言い訳するかのように。