2012年12月1日土曜日
全12巻は絶版中
*の続き
∧∧
(‥ )もう絶版になった書籍を
\– 電子化するべきではないか
そういう意見もあります
(‥ )単純にいうと、欲しいよね
例えばプルタルコス(おそらく紀元1世紀後半に生まれた人物)が書いた英雄伝、身近な訳書では「プルタークの英雄伝」潮出出版がある。だが、これ、全訳ではなく抜粋で、しかもマリウスがメーリアスと英語表記されるなど、人名、地名、都市、住人の呼称が「誰だお前?」というありさま。読んでいても頭をひねらないとさっぱり分からんというもの(だもんで、一部で恐ろしく不評。以前も少しだけ話題にした=>*)。
∧∧
(‥ )でも岩波文庫版で全訳が
\– あるのですよね
(‥ )全12巻でな。絶版だ。
手に入れるのに少し
苦労したよ
調べてみたら、近所の図書館にもあった。=>*
∧∧
( ‥)バックヤードに入って
いましたが、検索すると
出てきましてね。
(‥ )図書館の本は書棚にある
ものだけじゃない。
古いものは裏の書庫に
収まっている。こういう
ところが図書館の偉大な
役割ってことさね。
流行りの、どうせ10年後にはかさばるだけの粗大ゴミになるような有象無象な小説を無料で読ませることは、それがサービスの一環であるにしても、図書館の果たすべき責務ではない。誰も読まないが、それゆえに保存しないと知識の系譜が途切れてしまうものを保存するためにこそあるのだ。それを怠るから、ローマ帝国においてアルキメデスの業績が失われるということになる=>*
∧∧
(‥ )有象無象の本を電子化する、
\– その一方で、「プルタークの
英雄伝、岩波文庫版」
こういう本を電子化したら
読者には
ありがたいでしょうね
(‥ )紙の本を図書館で
保存するにしても
全12巻を読者が持つには
かさばるからなあ。
だが、こういうのを電子化しろ、と言われても出版社は困るのだろう。
例えばの話、2009年はダーウィンの生誕200周年、種の起源150周年であり、進化論関係の本が幾つも出た。
∧∧
( ‥)あなたも出しましたけども
( ‥)ウイルス進化論とか、
–□ そういう扇動本も出たな
ダーウィンの進化論は
間違っている!!
あなたの常識は間違い
かもしれないよ?
さあ、この本を読みなさい
相手の不安感を煽って売る
本のひとつのあり方であり
醍醐味だね。
そしてその本は、どう見ても20年前に出た本の復刻版であった。
∧∧
( ‥)原発ぱーんの時もそうでした
けども
(‥ )商いのチャンスがあれば
忘れ去られていた本を
引っ張りだしてまで売るのだ
それが出版界よ。
不謹慎と言われようが
なんだろうが、2011〜
2012年は原発バブル
だったのは事実。このように
出版社とか出版界というのは
バブルを見逃さないし、
法律と倫理に反しなければ
なんでもやる。
ウイルス進化論なんて妥当でないし、論文にすらなっていないし、認知もされていない学説だ。しかし、たとえそれが風評の流布でしかなくても、それを信じている作者が書けば、それは嘘ではない。もちろん、出版社も嘘を売っていることにはならない。そう言っている人がいるよ、と述べているだけである。
∧∧
( ‥)つまり法律や倫理に
抵触しているわけではない
( ‥)売るためにはそこまでやる
–□ 出版社が、その一方では
復刻しないまま
放置する本がある。
それはようするに
その本が儲からないんだよ
∧∧
(‥ )「プルタークの英雄伝」
\– 岩波文庫版
全12巻ではね
(‥ )電子化に最適とも言える
書籍だけどもさ、誰も
こんな長い本を読んだり
しないよね。いるにしても
誤差の範囲。絶版状態とは
商業的には読者が
存在しないと
同様ってことなのさ。
そもそも人間は本を読む動物ではないのだ。いくら電子化のメリットを唱えても売れなければどうにもならない。
∧∧
( ‥)そして商品が少ないと
電子書籍の端末は
普及しない
(‥ )つまり市場が成立しない
すると売れない。
だから儲からない
つまり電子化できない
そういうことよな