2012年9月9日日曜日
さあ知るがいい、絶望の世界を
図書館にいき、「プラトン全集2」を借りる
∧∧
( ‥)どう?
( ‥)うん、確認した
–□ 「テアイテトス」の中で
数学で業績を残した
哲学者、若かりし日の
テアイテトスが
師のテオドロスが
ルート17まで無理数で
あることを証明してくれた
そのことを語って
いる場面があるね。
*このやり取りを対話形式で書いたのは、あくまでプラトンであり、プラトンは自身の作品に知人などを登場させ、キャラクターが対話する形式で自身の考えや理論や見解を説明した。言い換えると対話で出てこない事柄はプラトンが何らかの理由で”省いた”ということでもある。
∧∧
( ‥)テオドロスはプラトンさんの
数学の先生でもあったと
聞きますが
( ‥)彼はねえ、書いていないね
–□ 自分の師匠でもあった
テオドロスの証明が
どんなものであったのか、
書いていないね。
書けよ、ごらあ
そここそが重要だろうがよ
∧∧
( ‥)プラトンさんは数学の才能が
ない?
(‥ )それもあるかもしれない
そもそも対話で説明する
必要はないと思ったの
かもしれない。
∧∧
( ‥)だけどもたぶん
( ‥)うん、無理数を嫌っている
–□ というのも大きいのじゃ
ないかな。
∧∧
( ‥)無理数ってプラトンさんとか
この時代のギリシャ哲学者に
してみれば、全員ではないけども
恐怖の数字、という感じ
ですかね?
(‥ )123456...自然数だけで
世界を説明しようとした
自然数だけが世界の真理だと
思っていた、それでは扱えぬ
数があることに気づいたが、
それを幾何学に押し隠した
∧∧
( ‥)古代人の工夫でもありますし、
古代人の機転でもあるし
古代人の限界でもある
(‥ )僕らの大半は過去の数学者
より劣っているんだ。
彼らは本当にすばらしい、
だが、少数、無理数、0
マイナス、虚数、複素数、
これらを一応だけにせよ、
学校で学ぶ僕らは
いかに彼らから遠くまで
やってきたことか。
ああ、諸君、そして大哲学者たちよ、これが、これこそが、以後に現れた数々の人々が残してくれた膨大な遺産と成果だよ。自覚しなくても成果は成果なのだ。
∧∧
(‥ )古代の人たちの数学って
\– 非常に高度なレベルにまで
到達したけども、色々な
制限があるから、根源的には
現代人にかなわないのだと
(‥ )プラトンに、あなたは
自然数しか見たくないかも
しれないけど、数は実際には
無理数の方が多いよ、しかも
数のどこにでも偏在してるよ
そう言ったら、どんな顔を
するだろうな。
自然数だけで世界を説明できるはずだ、と無理数を押さえ込もうとした彼と多くの人々は、数の世界の実体、自然数など数のほんのわずかな領域でしかなく、しかも無理数の方が多いのだ、その実体を見せられたら、絶望して消し飛ばされてしまうだろうか。