2012年6月19日火曜日
デブでないと生きられない
∧∧
( ‥)つまり?
( ‥)おいちゃんの仕事はあれよ
–□ 現金輸送車のドライバー
みたいなもんだから
運ぶ人よりは運ぶものに皆の興味がいくし、重要でもある。
∧∧
(‥ )でも世の中にはびこる”お金”
○– には価値のないものも
混ざっているのですよね
(‥ )金や銀の含有量が低いもの
普遍的な価値がないもの、
ようするにオレ様通貨や
あるいは偽金も混ざっている
というか、そっちの方が
多いのよな
*通貨:ここでは情報や発見、方法論、解析手段などのこと。金や銀の含有量が低い、とは本来の情報に混ぜ物が混ざっている、普遍的な価値がないとは検証に耐えるような耐久性がないもの、オレ様通貨はようするにオレ様理論のこと、偽金は疑似科学やトンデモ理論。
∧∧
( ‥)でも、世の中ではむしろ
オレ様通貨や偽金、混ぜ物
の方が流通しやすいと?
( ‥)みんながみんな金や銀の
–□ 含有量を気にするわけでは
ないし、メッキでも
見た目はきれいだからな
計りを持っていない人間を騙すのは雑作もない。
∧∧
( ‥)でっ? サイエンスライター
としては運ぶ現金の質を
きちんとみなければいかんと?
(‥ )残念だけども、それはライター
とやらをどんな立場で語るか
それ次第だな。
科学は本物の通貨とこの点ではまるで違っていて、売れて流通する価値や条件と、普遍的な価値と条件とがまったく乖離している。そうである以上、売れることを優先すれば偽金やメッキものの方が良い。
もちろん、そうでない考えもある。
∧∧
( ‥)運び伝えることを考えると
普遍的な価値が保証されている
あるいはとりあえずテストに
合格した貨幣と通貨が良い。
( ‥)本というものそれ自体が
–□ 本来はそういうものだった
そう言えるかもね
∧∧
( ‥)そうではなく、もしも
本を商品とみなすのなら
(‥ )読んで、いや読まずに
捨てたっていいのさ。
偽金を使ってもらっちゃ
困るしな。
事実、この業界はそうして回っている。
∧∧
(‥ )反対に、本が知識や
\– 方法論の伝達媒体だと
するのなら
(‥ )読んでもらわねば困る
本は読むという意味においてさえ転写可能なので、図書館や本棚に保存され、ひたすらそこから転写と流通を行ってもらうのが望ましい。
∧∧
( ‥)...でも、意地悪なことを言うと
あなたは小説を本とは認識して
いないんですよね
( ‥)本に分類されるけども、
–□ より重要なのは作り話では
ないだろう、
そういうことさ
人気のある小説は一時は貸し出しが盛んに行われ、順番待ちであるがゆえにまたされる人は抗議し、図書館は何冊も同じ本をそろえ、予算と置き場所を消費するはめになる。
それよりはアルマゲストを置くべきではなかったか?
∧∧
( ‥)あなたは、出版界は
ラノベと漫画と教科書
に収束するだろうと
言いましたよね
(‥ )本を娯楽と消費物にして
ぶくぶく太った業界の罪だよ
デブでないと生きられない
でもな、お話はいくらでも
自然発生するけども、
科学と技術は
そうではないんだ。
プラトンやアリストテレスが書いた”娯楽小説”が残る一方で、ヒッパルコスなどの業績が消えてしまったこと、それ自体が、図書館が本来いかなる組織であるべきか、何を守るべきかを語っている。あれは娯楽施設じゃない。小説が必要とされる商品であることはその通りだが、それ以上であるべきではない。