2012年6月29日金曜日
トンデモではへたうまにすらなれぬ
イタリアのある地層には6550万年前、地球に直径10キロの隕石、というか小惑星が衝突して出来た層がある。その厚みは2、3センチ
それを聞いたある男が計算して得意げにいった、その厚みでは天体の大きさが合わない、この仮説は間違いで、研究者達はとんでもない勘違いをしているのだ!! と
∧∧
( ‥)...直径10km、この数値は
イリジウムの量から
算出した推定値ですよね
( ‥)イリジウムは鉄と親和性の
良い元素で、鉄を主成分と
する核と、岩石を主成分と
するマントルが分化した時
核にいってしまって
地表にはほとんどない
あるのは宇宙から落ちてきた塵などに由来するもので、その量を調べたら、白亜紀最末期のそのわずか数センチの層だけが異常な値を示していた。それだけの異常をもたらし、全地球をイリジウムで汚染する地球外物質の量。そこから推算した値が直径10km。地層の厚みがうんぬんではない(ついでにいうと、イタリアの地層がわずか数センチなのは隕石衝突地点から離れているからだ。近くにいけば数センチだの数メートルどころの騒ぎではない)。
まあ、ようするに最初の男はトンデモさんだ。
∧∧
( ‥)でも、そんな話はどうでも
良いのでしょ?
( ‥)イタリアの地層の厚みは
地球上で最小レベル
そのことは図書館にいけば
分かる。
県立図書館だと、まあ、scienceぐらいは置いてある。
ネットで調べても、本を買っても良い。自分が研究者の間違いを発見した、と有頂天に思い込む以前に、自分こそが勘違いしていないかどうか調べることもできる(というかその方が先だろ? 学生時代に、「僕の出した答えと合わないから、この問題集がおかしいぴょ」 なんて言ったのか? 言ったらどうなった? まさか、言ってしまって、笑われたつらい記憶があるんじゃあるまいな?)
∧∧
( ‥)つまり?
( ‥)調べない、話を聞かない
自分を疑わない、
是正しない、
こうなると何が起きるか
∧∧
( ‥)どうなります?
(‥ )対応も、向上もできなく
なるんだ。
科学というのはデータから答えを出しました、では駄目だ。
データーをこれこれの解析手段で解析しました、そこ重要(それ以外も大事だが)
∧∧
( ‥)ようするに、計り、ですね
( ‥)これは偽金ではありません!
これは偽金です!
これらの言葉は計りが
正常、妥当でないと
意味をなさない
調べない、自分の答えを疑わない、計りがない、これは致命的だ
∧∧
( ‥)なぜかと申しますに
(‥ )調べない=データを追加しない
疑わない=答えを検証しない
計りがない=検証不可能
やらない、しない、できない。それは検証しない、ことを示す。
検証をしない、やらない、そもそもできない
つまり、経験に基づいて確かめ、行動を是正することが不可能になる
∧∧
( ‥)これは、いかなる局面に
おいても効いてくるだろうと
( ‥)例えばイラストでも
–□ そうなのだ
資料を調べないのなら、絵にリアリティーはなくなる。これで良いのだ(笑)と有頂天に勘違いして疑わないのなら、絵は是正されなくなる。そしてなんらかの基準、それが客でも誰かの感想でもなんでも良いが、そこから逸脱すると独りよがりになる。
∧∧
( ‥)それは、へた、とは
違うのですよね
(‥ )絵がうまければ
イラストレーターや
漫画家になれるかって
いうとそうではない。
客の、それが読者なのか、発注主なのか、編集なのか知らんけども、相手の要望に十分答えているイラストを時間内に仕上げる、これ大事。というか必然。
〆切り後に上がった絵に価値はない
絵がへた、でも”へたうま”になれれば問題ない。
君は絵がへただ、おまけに技術もない、だけど、雰囲気がかっこいいし、しびれる絵だからお金だすね。
この要望さえ満足すれば問題ない。
∧∧
( ‥)へたうま、っていうのは
(‥ )あれはさ、理屈はおかしい
消失点ははちゃめちゃ
人体の比率がとんちんかん
だけど人間の心理や認識
には適合しているから
受け入れられる、
そういう線と姿を獲得した
ものなんだ。
∧∧
( ‥)それを獲得するにはですよ
(‥ )とにかく描くしか
ないんだ、なおかつ
試行錯誤の過程が
正しく動作しないと
いけない。
トンデモではへたうまにすらなれぬ。
トンデモだからお前は人生が詰む。