2013年3月19日火曜日
間違った結果から遡及して間違った前提を確信する
∧∧
( ‥)つまり?
( ‥)そうねえ。
3月10日に関東を覆った土ぼこりを「わー、すげー黄砂。こんなの初めて」と思っていたら、「これは黄砂ではなく煙霧です」と言われて、「えっ?? そうなの??」
∧∧
( ‥)と、あなたは思った
( ‥)似たことは多くの人が
–□ 思ったみたいだし、
だから陰謀論も出てくる
∧∧
( ‥)でも、そのとまどいの背景に
あったのは
「これは黄砂に違いない」
という前提であった。
(‥ )より正確に言うとだ
ある微細な鉱物粒子を
指し示して、これは
大陸から飛来したものだ
そう同定することが出来る
そういう前提があった
ということなんだよね。
少し考えてみれば当たり前なんだが、そんなことを言うのは容易なことではないんである。
∧∧
(‥ )一応、テレビなどで、
\– 硫黄酸化物系の物質が
見つかったから、大陸由来の
ものが混じっている、という
同定はあったみたいですね
(‥ )だから、あれは黄砂に
違いない、
そう確信した人も
いるみたいね。
だが、この理屈で言うと、コップの水から砂糖の分子が見つかれば、それは砂糖水だ、ということになる。
∧∧
( ‥)コップ1杯の水に砂糖を
ひと粒、入れただけかも
しれない
(‥ )それでこれは砂糖が入った
甘味飲料です、と言ったら
まあ、ぶっとばされるかな
∧∧
( ‥)人間らしいと言えば
人間らしい?
( ‥)大前提を疑わない
–□ *これは黄砂である
濃度や程度を無視する
*砂糖分子が混入して
いればそれは甘味飲料だ
人間らしい誤謬と言えば
誤謬だろうな。
定義の問題もある。例えばPM2.5という言葉。本来は空中を浮遊する1000分の2.5ミリ以下の物質を指し示しているけども、これがいつのまにか中国産の有毒物質を示す名詞になっている。
∧∧
( ‥)だからPM2.5の値が上昇した
と聞くと、
汚染濃度が上昇したと考える
(‥ )弱ったことに外見上は
意味が通るのだよね。
:PM2.5の濃度が上昇した=>浮遊する微細な粒子の濃度が上がりました、健康にはよろしくありません
:PM2.5の濃度が上昇した=>中国産の汚染物質の濃度が上昇しました、健康にはよろしくありません
∧∧
( ‥)おおまかな意味が同じ
( ‥)それにどうも、人間は
–□ 結果から遡及して
間違った前提を正しいと
考える場合がある。
例:
健康にはよろしくありません
=>健康に有害というと中国の汚染物質である
=>中国の汚染物質というとPM2.5である
=>PM2.5の濃度上昇は中国の汚染物質が舞い上がったことを示す
=>黄砂はPM2.5に汚染されているのだから、濃度上昇は黄砂が舞い上がったことを示す
=>3月10日にはPM2.5の濃度が上昇した
=>つまり3月10日の煙霧はまぎれも無い黄砂である
∧∧
(‥ )実際には途中で論理や
\– 言葉に飛躍が起こっている
わけですけども
(‥ )PM2.5は大陸由来の黄砂も
含みうる言葉だけども
PM2.5=大陸由来の黄砂
ではない。
つまり
PM2.5の上昇は必ずしも
黄砂の舞い上がりを
意味しない。しかしそれが
途中でイコールになってる
言うなれば名詞の包含関係がおかしい。山田さんは人間ではあるが、人間=山田さんではない。これを勘違いすると話の筋道は通っているのに結論がおかしくなる。
*筋道が正しいのに結論がおかしい、というのは文章の誤りが単語の中に、いわば押しやられているということになる。そのため、外見上、文章に誤りがなくなる。名詞の包含関係がおかしい、というのは誤りが名詞の中に折り畳まれた、ということだ。
砂糖分子が含まれているうんぬんの話も構図は同様だ。
砂糖水=砂糖分子が含まれた水、ではあるが、砂糖分子が含まれた水=砂糖水ではない。少なくとも私たちは砂糖分子が含まれた水を砂糖水とは呼ばない。
間違った推論で得た、間違った結果から遡及して、間違った前提を確信する、これは人の行動を理解する上での、ひとつのヒントなんだろう。