2018年12月21日金曜日
明滅するがごとく生成消滅する雲
∧∧
(‥ )天気悪いな
\\‐ 快晴の予報なのに
⊥ 雲がかかってくる
(‥ )気象衛星の画像では
晴れてるんだ
高空の雲じゃないな
彗星は見るのが大変だった。ウィルタネン彗星はぎょしゃ座の足元にあり、月齢13の月がプレアデス星団の近くで輝く。かすみと雲が流れて空は明るい。星は見えるのに状況は最悪で、当初使っていた125ミリでは見えない。
∧∧
(‥ )300だと見えるね
\\‐ それでも倍率を
⊥ 上げないと苦しい
( ‥)空に少しかすみが
かかってるしな
観察はできたが、雲が急激に現れて全てが遮られた。
そして衛星画像を見ればあいかわらず快晴なのである。ただし画像をよく見ると自分のいる場所が白く霞んでいるのが分かった。
∧∧
(‥ )これが雲かね?
\‐ 薄くて小さく
おまけに時間が経過しても
動かないぞ
(‥ )おそらく盆地の空を
低く埋めているのだと
思うな
地形と一致してるよ
実際、見てても
上空の雲は動いとらん
高空の気流で流されてくる
雲じゃない
印象的だったのは散歩がてら買い出しに出た時であった。出かけた時、空を覆っていた動かぬ雲は切れ切れになっていた。そうして1キロも歩くうちに、みるみる雲は動かぬままに断片になってすべて消えた。あっさりと消えた。残ったのは地平線の向こうにまだかかる雲と、冷たい月が煌々と照らす快晴の空。
どうする?
∧∧ 引き返す?
( ‥)
‐( ‥)んー 引き返しても
稼げる時間は
30分ぐらいだろ?
食料の買い出しをしてから
彗星を見ることにしよう
しかし、店について買い出しをして、そうして店から出ると状況は一変していた。
さっきまで見えていた山が見えない。比高差200メートルより上が白くガスに覆われていた。即座にかすみが空を白く染め始め...、とはいえ動いているわけではない。水の雫を冷却すると0度になった瞬間、いきなり凍結が始まり氷が広がるように、空に蒸気の領域が広がっていく。
家に帰りつく頃には雲が分厚く覆い尽くし、もはや月の光も消えた。
だがおかしなもので、今度は山の姿がくっきり見えている。
∧∧ 何が起きてるの?
(‥ )
‐( ‥)なんだろう?
雲を即座に消して
即座に作る...
なんだこれ?
雲の高さは1000メートル程度に思われた。冷たい空気が上空を通ったので、盆地内部の空気が冷やされて飽和した? それとも気流の境界線が波打っていて、わずかな上下動が雲を明滅するように出したり消えたりさせるのか?
なんとも分からない。
∧∧
(‥ )途中で引き返しても
\‐ 彗星が観察できたか
怪しいぐらいの急変ですなあ
(‥ )地形に束縛されているの
だろうけど
なんだろうな
ここの天候は
引っ越す前はそんなこと考えていなかったが、これは予想外だ。
∧∧
(‥ )まあまだしばらくは
\‐ ここで暮らすにしても
(‥ )次の引越し先は
もう少し
吟味が必要だなあ
買い出しの食料を料理して食べ...そうしてしばらく時間がすぎる。
そしたら空の雲が再び消え始めたことに気がついた。4時手前に彗星の位置を確認して観察を終える。そして今は再び全天が雲だ。明滅するように雲が生成消滅する。これは有難い気候ではない。