2017年8月30日水曜日
夢のアパートと過去の話
夢を見た。見知らぬおかしなアパートで新しい生活を始めていた。直交して並ぶ隣のアパートの前では幾人かの住人が何事かしている。周囲には道があり、ひなびた商店街があって…
∧∧
( ‥)あんたが住むにしては
妙に都会っぽいな
(‥ )地方の小さな駅前
といった感じだが
人が多すぎだ
自分の部屋は127号室なんだが、突き当たりから2つ目の部屋で、どうしてこれが127号室になるんだかよくわからない。荷物を置いて少し出かけて、戻ったところから夢は始まった。夢の中でツル植物のことを考えていたのだが、これは現実の思考なんだろう。今、ツル植物について考えているから。
ともあれペンキのはげかかった扉を鍵で開けて、室内に入る。荷物はごくわずかだ。そういえばここ、2階もあったんだよな? 大きな螺旋を描くように、室内の壁をぐるっとめぐる階段をのぼると、そこは吹き抜けの2階で全方位がガラス張り。お隣のちっこいフィットネスクラブで運動にはげむ人たちと目があうし、どういうわけかガラス張りの一部には電光掲示板、というかテレビ画面が据え置かれているらしい。暇そうなくたびれた女子高生…なのか? が座り込んでぼーっとこっちの壁を眺めている。
∧∧
(‥ )ひなびた商店街って
\‐ 設定は一体どこへ
いったんだよ?
(‥ )夢は設定がころころ
変わるから
吹き抜けの2階を歩くと、おかしな部屋が目についた。そこは扉ではなく耐水カーテンだ。まるで更衣室のような入り口だ。はて? これはサウナとか温泉とかプールとか、そういう施設か? なんだろうといぶかしく思っていると自分の疑惑を体現するかのようにいつの間にかガウンを着た男が現れて話しかけてきた。
入居するかどうかの説明会では、全員がここで服を脱いでガウンになったんですよね。あなたはどうでした?
はあ? そんな馬鹿な。自分は今、ここを知ったばかりで入居の説明会なんて、そんなものは無かった。
と思っている間に、清掃服を来たような住み込みのおばさんがやってきた。日本人にはちょっと見えない。しわのよった肌、髪の毛は白っぽいが白髪とかではない。もともと色素が薄いのだ。顔つきもアジア系にロシア系の血が混ざっているような極東ロシアの顔っぽい。人懐っこい笑顔を浮かべて言うには、ここのアパートの2階には全部こういう場所があってそこを一括管理していて、お湯、あびますか? と…
なんだろう? サウナとクリーニングと清掃の概念がごちゃまぜだ。一括管理されているだけであって、おばさんが現れた開かれた扉の向こう側はずっと廊下が続いていて、すべての住居のすべての同じ部屋のすべての同じ扉がずらっと連なるのが見えた。
防犯どうなってるんだこれー??
そう思っているうちに目が覚める。
∧∧
(‥ )こういう場所に住みたいのか?
\‐
(‥ )まさか
安アパートという概念に
色々な安っぽいくたびれた
世界観が次々に
後付けに加わってできた
夢のパッチワークにすぎぬよ
∧∧
(‥ )でもアパートにすむってのは
\‐ 家賃を払い続けることで
経済的には負担だろ?
いくら安アパートとはいえ
こんな夢を見ていていいのか?
(‥ )さあどうだろうな?
例えば稼ぎの良い時に金をため、中古の家を買う。そうすれば収入が低くなった時に家賃を払いきれなくなる、ということはない。
∧∧
(‥ )あなたの知り合いのライターも
\‐ 一時は稼ぎが良くて都心にある
月10万だか20万のアパートに
住んでいたけど
その後
収入は多分10分の1以下に激減
その場を離れざるを
えませんでしたからな
(‥ )でもよ
あの頃のみんなには
そういう発想が
なかったからな
90年代当時、ネットは拡大しつつあったが、まだデータのやり取りだけですませてしまおうって感じではなかった。出版社のある東京かその近辺にいた方が良いというのは、多分、現実だった。それに今でこそ見捨てられた安い一軒家の中古物件があるけども、当時はどうであったろう?
∧∧
(‥ )分かりませんな
\‐
(‥ )あったところで
現実的な選択肢だったのか
それが分からんのでは
なんとも言えないし
もはやすんだ過去のこと
今さらそんな出来なかった
選択肢の話をしてもな
なにもかも夢のような話