2017年1月16日月曜日
すぐれた販売戦略というものはある
典型的には、進化論に関する本の売り上げと内容を見れば明白でありが、本を読む人間は自力で正しい答えに到達することができない。まったく不可能であると言って良い。
∧∧
( ‥)考えてみればこれ
学問に王道無し
の事例だよね
(‥ )ユークリッドから
幾何原論を献上された
プトレマイオス王が
もう少し易しくできない
ものだろうか?
と問うた時の
回答とされる言葉
それが学問に王道無し
知っての通り、ユークリッドの幾何原論は、どうでもいいようなくだらない定義から始まり、そうして易しい証明から、難解な証明へと急激に進んでいく。
最初はあまりのくだらない定義の羅列に、俺を馬鹿にしているのか? と思っていた学生達が、これなら分かるぞふふ〜〜んん、を通り越して頭を抱え、数学だの証明だの何の役に立つんだ?? と腹立ち紛れに教科書を放り出すものだ。
それがユークリッドの幾何原論であるし、そしてそんな現在の学生と同様、アレクサンドロス大王の部下からエジプトを支配する王へと登り詰めた男を嘆かせた本。それが幾何原論なのである。
∧∧
(‥ )幾何原論はあれ以上
\− 簡単にはならない
ゆえに
これより近い道なし
学問に王だけが通れる
近道はないのである
(‥ )ところがだ
例えばの話
こんな本が出たとしよう
幾何原論は間違っている。本当の正しい幾何学はこんなに難しいものではないのです。今の数学者はこの過ちをいつになったら認めるのでしょうか?
そううたって内容が完全に間違っている自称幾何学の本を売る。売れる、話題になる。
そうして自称読書人がその本を読み、感想を書き、俺ってすごいだろう? と自慢をし、そうして幾何原論は決して読まない。
こういう絶賛お馬鹿状態。
∧∧
( ‥)進化論はちょうどこんな状況が
まかり通ってしまっている
(‥ )読書人ってのは
平気でこういうことを
するんだよ
ろくでもない連中だぜ
そうして奴らときたら、絶対に教科書は読まないのだ。なぜって当然だろう? 自分を挫折させた本を一体誰が手に取る?
自分を挫折させた本からたくみに逃れ、あなたを挫折させた本は悪い本ですよという声に負け、あまつさえ、これならあなたも挫折しませんよ? という嘘に手を伸ばす。
これが読書する人間の正体であり、知識人というものの姿であった。
かように知的な人間とは嘘つきであり、自己欺瞞と文化破壊の走狗である。
ゆえに知性あるものをこの地上から根絶やしにせよ!!
∧∧
(‥ )...とまあ知識人に火をつけて
\− 盛大なキャンプファイヤーを
するってのはともかくとして
可能な限り正しい内容の本を
売るにはどうすれば
どうすれば良いのでしょうね
(‥ )興味深い事例は
村上春樹なる人の事例と
AKB商法だなあ
村上春樹なる人の文章は冗長で、その比喩表現を削れば内容は3分の1になる。そう主張した人がいた。
それが事実であれば興味深い。それはつまり実際には3分の1の内容を薄めて水かささせているわけで、つまり楽な労力で長大な文章を読んだという達成感を読者に与えることができることを示す。これは優れた販売戦略ぞ。
∧∧
(‥ )実際どうも人間が読める
\− 文章量は2万文字あたりが
限界のようですからなあ
(‥ )それを薄めて
読者の脳を酷使せぬまま
達成感を与える
興味深い方法論だろ?
事実なら実に良い
もうひとつのAKB商法は以前も述べたように、内容とは直接関係ない付加価値で商品を売っている。これは先の方法よりもなお優れたものだ。なぜって、こちらなら内容を薄めることがないし、内容に影響を与えず、内容を正確に保存できるからである。
∧∧
( ‥)ああ、幾何原論で例えると
分かりやすいですかね
証明を冗長にして
よりよく言うと
丁寧にして
少ない内容を
のんびりと説明し
読了という達成感を
読者に与えるのが
村上さん方式
(‥ )幾何原論に内容と関係ない
付加価値をつけて
売るのがAKB方式だ
まあAKBのやり方だと
歌い手と握手権は
関連してはいるんだが
そこはそれ
これはこれよな
∧∧
(‥ )このやり方を科学の本の分野で
\− どう再現するのかが
これからの課題という
わけですか
(‥ )そうしないと
まともな内容の本を
書き続けることは
できないからね
これ大事な課題なのよ