2016年12月1日木曜日
君ー、それが幸せの対価ってものだよ?
出来が良い、というのは平均より上のことだ。
そういうわけで出来が良い程度の人間は実のところ全体の1割、2割はいる。
ずいぶん多いもんだが、彼らは他人に比べて自分は頭が良い、先が見えると大得意だ。
だが悲しいかな、本当に出来が良い人間とは、1万人に1人とか10万人に1人とか、100万人に1人なのである。
そういうわけで、中途半端に出来が良い人間は、俺は出来が良いという成功体験の割りには成功できない。中途半端なところで止まる。
∧∧
(‥ )...まあようするに
\− 挫折するんですな
(‥ )平均以上はいけているし
分相応な立ち位置には
至っているんだがな
自分を過大評価してるから
不満だらけなのだ
俺の実力は
こんなはずじゃない
俺への評価は
こんなものじゃないと
言いよるのよ
こうなると人間、攻撃ばかり始める。社会批判を始める。
もちろん、誰でも社会批判はする。希有壮大かつ抽象的な大批判を行うのは人間の精神を安定させるには必要だ。
∧∧
( ‥)でもこの手の人の批判は
ちょっと刺々しいと
(‥ )たいていの人の批判はな
上司が馬鹿だ
旦那が馬鹿だ
妻が馬鹿だ
大人が馬鹿だ
とにかく愚痴なのよ
だが、出来がちょっと良かった人間の批判は、俺を認めなかったこの社会は悪魔が作った欺瞞の世界である、とか壮大かつ無差別殺人なことを言い出すのでたちが悪い。
∧∧
(‥ )王様になれるはずの
\− 俺様を王様にしないお前達は
悪魔だー! と言いながら
言葉の刃物で誰彼構わず
刺すような感じですかね?
(‥ )中途半端に頭いいから
これがな
情報を発信する側に
いたりするんだよね
まあそういうわけで社会をこきおろし、やれこんなもの民主制ではないだの、やれここには言論の自由がないのだの、封建社会だの世襲制だの村社会だのと針小棒大に大騒ぎである。
∧∧
(‥ )でもそれじゃあどこにも
\− いけないでしょ?
(‥ )いやだって
どこにもいけないって
本人自身が分かってるしな
だってほら、連中、檻の批判はするが絶対に檻から出て行かないだろう? 意識していないが、彼らの脳は分かっているのだ。
自分の今の立ち位置が自分にとって分相応な立ち位置なのであると。
今の自分のこの居場所が自分の到達できる最高点であり、これ以上は望めないのだと。
彼らの脳は彼らの意識を騙しているのだ。
今の自分のこの有様が自分の限界だと脳は分かっている。そうであろう?
だが、それを意識にのぼらせると意識が発狂する。
それを案じた脳が意識に与えた言い訳。それが、自分を認めないこの社会こそが諸悪の根源である! という口実であった。
∧∧
( ‥)それでいいの?
(‥ )いいんじゃね?
だって、今の立ち位置が自分の分相応だと分かったところで、何も変わらないのだから。
だったら檻から絶対でないまま檻の文句を言い続けるべきだ。だって彼らは幸せを選んだのだから。
∧∧
( ‥)あんたはどうする?
(‥ )知らんか?
檻に入れるほど
出来が良くなかった人間は
走り続けないと死ぬんだ
だからほら、世界を呪う出来の良い諸君はだ、自分が幸せであること噛み締めながら、己の呪いにまみれて温かに安らかに死ぬといい。それが幸せを選んだ報いというものだろう?