2016年9月10日土曜日
私はお茶をにごして一世代を待とう
∧∧
(‥ )常温核融合実用化へ?
\− という話にあなたが
疑問点を持つとしたら
どこです?
(‥ )何かが起こっている
それは本当か?
その議論が
盛り上がるより先に
実用化が先行しているように
見えることだな
当たり前だが、普通は逆だ。
現実にその現象があるかないかがまず議論され、現象自体は確かに起きている、間違いない。そうなった時点で理論が提案され、商業化や実用化が進む。
∧∧
( ‥)もちろん商業化の試みが先に
進んでもいいし
現象の確認とその有無の議論も
単にあなたが知らないだけって
こともありうる
( ‥)まあそのなんだ
−/ 常温核融合をめぐる
事例には
これと良く似たやり取り
永久機関で見たぞ!
とか
そう思える案件がね
あるけどね
あるけども、それだけでは全面否定の根拠にならないのも事実。
∧∧
(‥ )さりとて
\− だから常温核融合は実証された
ということにも
ならないのである
(‥ )まあだから続報待ちよ
あるかないか分からないが、延々と追い求められた研究は幾つもある。
ひとつは超能力であり、あるいは重力波であった。どちらも、これは本当に科学か? と問われたことがある探求であり、どちらも一世代が経過した。
∧∧
( ‥)超能力は今でも研究している
人たちがいるけども
敗北は確実
反対に重力波はこのあいだ
予想外にでっかいのが
いきなり観測されて
なんだこれ? と大騒ぎに
(‥ )まあだからだな
常温核融合も
一世代待てば
良いことさ
その時まで、まだ自分は生きているだろう。少なくとも癌や事故による肉体の崩壊がなければ。
∧∧
(‥ )あなた自身は常温核融合に
\− ついて調べないのですか?
(‥ )んー?
取りあえず分野外だし
記事にならんからな
ざっと状況を把握した
現時点で良しとするよ
再現性が高まっている
というのなら
待てば良いだけだしな
それになにより、再現性を高めるという段階では見ることしかできない。
仮に、見る以上のことができるとしても、判断を下せるほど状況を把握するには時間がかかりすぎる。
∧∧
( ‥)科学の仮説の是非を
調べるには
(‥ )その分野の歴史を
ざっくりとでもいいから
知る必要があるよな
過去30年
できれば50年
よく紙面をにぎわす大発見。実のところ、そんなぽっと出の大発見なんてない。実際には似たような仮説が過去30年とか50年とかの間に何度か出ているものだ(例のSTAP細胞だって似たような話はうわさ話から含めて色々とあるらしい)。
∧∧
(‥ )大発見の仮説とやらが
\− 実は過去の仮説の焼き直しって
ことはしばしばある話
(‥ )では過去の仮説はなぜ
否定されたのか?
否定された仮説はなぜ
姿を変えて復活できたのか?
本当に復活したのなら
過去に否定された原因は
今、改良されたか?
過去の問題点は
打開されたか?
注目すべきはそこだ
どうも見る限り、大概の場合、その答えは否である。過去の問題点は打開されておらず、新しいと言い立てる仮説は単なる焼き直しであり、そうして大発見は紙面をにぎわせて消える。だいたいそんなもんだ。
∧∧
(‥ )歴史を洗い出すことは
\− 提唱者がどんな人なのかを
知る上でも重要だよね
(‥ )ホラをふく奴いるからな
特に紙面をにぎわすような人はしばしばそうなのだ。知ってる人間からすると、またお前か…というパターン。自分が記事を書くことの多い恐竜とか古脊椎、あるいは白亜紀末期の大量絶滅の分野でもいるんだな、これが。
∧∧
( ‥)あとは
(‥ )その分野でよく使われる
解析手段を知ることだな
特に正統な手段で
はったりをかますには
どうすればよいか?
そのやり方を
把握するのが望ましい
論文と業績は目立つ方が良い。
しかし科学にはすでに方法論が確立している。
だからねつ造以外の方法で嘘やはったりはつけないはず…
∧∧
( ‥)などということはない
正しいデータを正しく解析して
都合良くセンセーショナルな
結論を出すことは可能だし
やる人もいる
(‥ )正しいやり方ではったりを
かます方法があるんだ
特に人目を引くような
論文にはそういうやり方が
隠れているもんよ
知ってる人間から見れば、
君、こんなもの信用しちゃ駄目だよ。この論文のこの内容は、はっはははははっ うまいことやりおる!
と笑い飛ばすような論文でも、知らない人間には非の打ち所がない、世界を揺るがす業績に見えるもの。
∧∧
(‥ )でもそこまで把握するの
\− めんどくさいよねー
(‥ )まあだからだな
冒頭のような言い様で
私はお茶をにごして
仕事に戻るとしよう
∧∧
(‥ )本当に常温核融合だか
\− 中性子捕獲が起こるのなら
いずれ確固たる事実に
なるでしょうからね
(‥ )なに、待てば良いのさ
なんてことはない。たった一世代ではないか。
つまりこの話はhilihiliのhilihili: 何かが道をやってくるの続き