2016年7月29日金曜日
正しさに固執するとは不毛な計算である
都知事選
ちょっと前、町田へいったら小田急線と横浜線をつなげるペデストリアンデッキで政治活動が行われていた。
あのデッキはその立地から選挙ではよく演説が行われるので、画材の買い出しにたまたま出かけるだけでも何事か目撃することがある。以前の都知事選では、応援団の若者が、当時人気の女性お笑いコンビ、”パイレーツが来るんですよ!” と候補者名など語っても意味無しとばかりにビラを配っていた。事実、悲しいかなその候補は落選した。
確かその候補さん
しばらく後
燃え尽きるように
∧∧ 亡くなったよね
( ‥)
−( ‥)寂寥だよな
そしてあの選挙で
石原都知事が誕生した
んじゃなかったかな
民主党が大敗する前にきた岡田代表の演説は閑散としたものだったし、石原都知事演説における人ごみは圧倒的だった。
そして今回は青いプラカード。反原発、憲法九条擁護、都政を都民に取り戻す、という簡素なスローガン
本人はいないけど
∧∧ 鳥越候補の陣営だ
(‥ )
−( ‥)町田は東京だからね
本人がいないから当然とはいえ、しかし、なにかこう周囲から乖離している感は否めない。
原発の電気はみんな使っているし、震災の時の原発ぱーんで一部の連中が騒ぎ立てたような放射性物質による健康被害も予想通り起きていない。中国との対立はあちらの膨張政策が原因で日本は受け身。どっちかというと憲法九条改正は全体の流れだろう。都政を都民に取り戻すと言っても、都議会との対立軸を一番早く打ち出したのは小池候補だ。
鳥越候補がいないということもあって、周囲の人々はスマホに夢中になるだけである。
∧∧ ポケモンGO?
( ‥)
−( ‥)どうだろうね?
普通にメールをいじったり
しているだけのようだが
鳴り物入りで突如、知事選に登場した鳥越候補だが、昨今だと、もはやおじいちゃん扱いである。
∧∧
(‥ )先日は伊豆大島での演説で
\− 伊豆大島などの離島部は
消費税を5%にする!
と言い出して
それ明らかに都知事の権限を
逸脱した公約だよね?
とあちこちから批判を浴び
あるいは都の尖閣基金を
どう使う? という質問に
わずか2行しか
答えないなど
(‥ )疲れた顔や表情もあって
ネットでは失礼ながら
幽体離脱だ
ボケちゃった
おじいちゃんだ扱いだ
なんというかなあ
ジャーナリストなんて
口だけだろ? と言われては
いたものの
ここまで中身が伴わないのは
正直予想外だったな
小池百合子候補が名乗りを上げ、そこへ都議会が増田候補を出してきて、保守分裂確定となった時にさっそうと現れたのが鳥越候補だ。
当初、野党が担ぎだしてきていた宇都宮候補を下ろしてまでも鳥越候補に一本化したのは道理ではあろう。知名度なら小池百合子候補とおそらく互角。保守分裂のこの状況なら勝ちも狙えるのでは? と期待するのは当然だ。
∧∧
( ‥)だけどもこれが
ふたを開けてみればですよ
( ‥)具体的なことを
−/ しゃべらせると
残念な人だってことが
ばれたっていうの?
あれよあれよと
滑り落ちていった感が
否めないなあ
一方、週刊文春の暴露記事に続いて、何年も前の女性スキャンダルを書き立てた週刊新潮に対し、鳥越候補は同様に告訴。
∧∧
(‥ )この鳥越候補なる人の
\− 女性スキャンダルって
以前もメモしたように
東国原元宮城県知事が
自分の知ってる話と違うと
Twitterで発言したのを初め
幾人もの人が
発言してるんだよね
彼は俺にも圧力を加えてきた
とか
彼の女癖は有名です
とか
(‥ )これって要するに
彼の女癖は有名なのだから
俺が言ってもいいよね
だって皆知ってるわけだし
どうせばれるだろ?
と皆に思われていることを
示唆してるよな
もちろん、スキャンダル自体はそもそも真偽が不明瞭なのであるが、むしろ批判されるのはその対応であった。例えば橋下元大阪府知事の出自問題を暴き立てた記事をもっと書き続けろと煽ったのは鳥越候補であった。
そのため橋下元知事からは、私の時は報道の自由を振りかざして記事を煽り立てておいて、いざ自分自身の女性スキャンダルに対しては告訴で対応するとは矛盾ではないか、と言われることになったのである。
∧∧
(‥ )報道の自由を言いながら
\− 自身のスキャンダルには
告訴で対応する
安倍首相の病気を揶揄
しておきながら
自身が病み上がりと言われると
差別と言い出す
聞く耳を持つと言いながら
記者の質問にはノーコメント
そう揶揄されていますなあ
(‥ )そういう
ダブルスタンダードに加えて
政策に具体性がない
尖閣基金について増田候補は
我が国の領域、排他的経済
水域の保全に以下うんぬん
小池候補は
センカクモグラなど生態系
調査を目的に以下うんぬん
これに対し
鳥越候補は
外交状況を見ながら寄付者の
意見を尊重した使い方を
考えたい
それだけで終わり
さらには都知事の権限を逸脱した消費税に関する言及、どこよりも電力を使っている東京都でありながら、東京都外の原発の停止を求める発言など、確かにこれではどうにも駄目だろう。
∧∧
( ‥)なんでこんなことに
なっちゃったんでしょうね?
(‥ )そういう仕事を
ずーっとしてきたから
神経回路がそういう形に
固定化されてるんじゃ
ないか?
ジャーナリズムは正しさを追求するという。だが、それが本当だというのなら、それは不毛の道だ。それに、正しいことをすると、人間はどうしてもダブルスタンダードになる。
もちろん、彼本人からすれば矛盾はないのだ。正しいことをしている人間は自分に正しさの基準を置いている。つまり、彼からすれば自分の座標こそが正しいのであって、同じ座標にいない他人はすべからく間違っていることになる。ここに矛盾はない。少なくとも彼の内部では。
同じことをしても自分がすれば正しいし、他人がすれば間違っていることになる。
例えば、正しい人間にとって、自分に発言の自由はあるが他人に発言の自由はない。
なぜなら自分こそが正しい座標にいるのだから、正しい発言の自由とは自分にしかないことになる。ゆえに他人の発言はすべて間違った発言となるのだ。
∧∧
(‥ )でも多くの人間は
\− 正しさとか座標ではなく
正しさの背景にある
原理を見て判断して
いるのである
(‥ )正しさってのは
原理を粗雑に荒く
要約しただけだからな
正しさに眼を奪われて
いる時点で
そりゃ駄目ですよ
例えば人を殺してはいけない。こう言われた時、
正しい人間は人を殺してはいけないのだから戦争も死刑も駄目だ。だが戦争したり死刑に賛成したりする人々がいる。人殺しがいけない以上、こういうことを言う人たちは悪い人たちなのだから皆殺しにするべきだ、と考える。
これに対し、多くの人間は次のように考える。殺したい人間はお互い誰でもいくらでもいるが、そうである以上、いざ皆が思いの丈をぶちまけあって殺し合いを始めたら社会が崩壊してしまう。だから取りあえず殺人やいさかいは我慢しなければならない。喧嘩も駄目だ。これをごく単純なルールとして要約すれば”人を殺してはならない”となる。だが、それはあくまでも表面上の簡略化されたルールでしかない。ルールの背景にある原理を踏まえて考えれば、結論は明快だ。社会秩序を維持、防衛するために戦争も死刑も是認される。
∧∧
(‥ )普通の人はそこまで
\− 脳内で計算しているものである
(‥ )意識的ではないが
普通の人間は自分と他人の
利害と損得を計算して
交渉しているんだ
だけど正しい人間はこれが
できないんだよね
多分、表面的な物事に
固執して暗記する傾向が
非常に強いからだし
表面上はテストの成績が
良いのもその結果では
なかろうかな?
そして、原理を把握して人間同士お互いの損得を計算できる人間なら、物事に関して具体的に多くを語ることができるであろうし、相手の要望を配慮するであろう。
だが正しい人間はこれができない。なぜなら表面的なルールと正しさに固執して、相手のことを考えないし、自分の正しさという不毛しか計算しないからである。場に関係のないことを言い、権限以上の物事を語り、物事をスローガンという要約でしか語れないとは、そういうことだろう。
∧∧
( ‥)これゆえに多くの人間から
そっぽを向かれてしまう
のである
(‥ )正しさに固執するとは
表面しか見ないこと
そうである以上
正しい人間は
他人の利害を推し量れない
そんな相手を一体誰が
推薦するというのかね?