2016年7月1日金曜日
人を模造しながら再現していないものの倫理とは?
∧∧
(‥ )そういえば先日
\− ラジオで人工知能と
倫理の問題を
やってたよね
(‥ )人工知能が
人間を抹殺しますとか
言い出さないように
人工知能には
倫理を組み込むべきとか
人工知能研究者も倫理を
どう扱うべきかを
論じているという話
だったかな?
それを聞いて思うに、ああ、人工知能研究をしている人たちは本当に人間の模造品を作れると思っているのか? という違和感であった。
∧∧
( ‥)動作の模造
厳密には受け答えの
模造だけど
それには
成功していますけどね
(‥ )でも俺たちは人間自身の
神経の構造を知らない
だから厳密に言うとこれは、模造と再現の区別がついていない、というべきかもしれぬ。
昔、チューリングという研究者がいた。彼は数学者でコンピューター科学の人でもあった。彼はチューリングパターンというものを考えだした。生物は蛋白質が水に溶けた存在で、なれば蛋白質の拡散と濃度分布からパターンが描けるし、それを方程式で示すことができる。そしてそれが生物の形や構造や模様を作りうる。
=>https://www.google.co.jp/search?q=turing+pattern&biw=1022&bih=686&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwjSx-jCstDNAhUJk5QKHfCsA4kQ_AUIBigB
∧∧
(‥ )確かにチューリングパターンと
\− 思わしき事例も
生物界にはあるんだよね
(‥ )そうだあるには
あるらしいんだ
だが、実験動物として遺伝子とそれがコードする蛋白質、その働きが一番分かっているショウジョウバエの研究が示したのは、てんで訳分からん複雑怪奇で入り組んだやり方に基づいた体節決定の仕組みであった。
例えばこういう論文と図=>https://www.google.co.jp/search?q=turing+pattern&biw=1022&bih=686&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwjSx-jCstDNAhUJk5QKHfCsA4kQ_AUIBig…
あるいはこの論文のように=>https://www.google.co.jp/search?q=turing+pattern&biw=1022&bih=686&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwjSx-jCstDNAhUJk5QKHfCsA4kQ_AUIBig…
体節と言えば、それは節足動物の体の基本、ごく単純な繰り返しのパターンのはず。だがそれが、こんな奇怪で複雑でいかにも冗長な仕組みで決定されているとは。
確かにそこには蛋白質の分散と濃度勾配があるが、そうしたきれいな事柄からくみ上げられて出来たものは、なんじゃこりゃ? であった。
∧∧
(‥ )だけどこの複雑怪奇な仕組みは
\− シミュレーションしてみると
頑健なものだそうですよね
(‥ )生物進化の真骨頂なの
だろうな
知性が介在しない
めちゃくちゃな
試行錯誤の累積で
素っ頓狂で冗長だけど
結果問題無しなものが
出来てくる
さてもさてもこれを踏まえるに考える。もしも天才チューリングのような綺麗で論理的な思考と発想がそのまま発展したら、ショウジョウバエを再現できたかもしれない。
∧∧
( ‥)でもチューリングさんのような
きれいな思考をする人が
再現したショウジョウバエとは
現実のショウジョウバエを
外見こそ模造しているが
中身も遺伝子もその実行も
まったく異なるものでは
なかったか?
( ‥)チューリングパターンが
−/ ほとんどまったく
生物学者に興味を
もたれていないのって
こういうのが原因だよな
つまり、きれいで論理的で方程式で表現できるのは良いのだけど、生物はそういうものじゃないよね、もっとひっちゃかめっちゃかでしょ? という疑義である。
そして事実としてそうだった。
さて、この類推を人工知能に当てはめると、やはり次のような発想が浮かんでくる。
人工知能って、人間を完璧に模造できるし、それで十分だけど、結局はそれってレプリカントだよね?
∧∧
( ‥)つまり模造物であって
再現物足り得ない
(‥ )その人工知能に倫理って
それって一体全体
なんだろうな?
もちろん、こう考えれば良いんだろう。
自動車は馬の再現ではないが、馬に取って代わった。
馬車の時代にも交通事故はあった。法規が必要であったし、それは自動車が普及した時にも、そのままとは言わないが、適用されるものだろう。
∧∧
(‥ )人工知能の倫理って
\− そういうことなんだろうね
(‥ )人工知能の倫理とは
倫理の再現ではなくて
倫理の模造物
なんらかの代替物って
ことなんだろうな
そう言う意味でいうとあれである。人類は自身を作ろうとしているのに、実際には自分以外の異種知性体と初めて遭遇するってわけだ。
人間を模造しながら再現しておらず、しかも倫理を持ちながら倫理でないものを持つ得体の知れない存在、人工知能。それと人類は邂逅することとなる。