2016年6月9日木曜日
馬鹿で物事を説明する理論は駄目だ
日付が変わった2016年6月9日。空は曇天。火星は見えぬ。
∧∧
(‥ )昼間8日は晴れていたの
\− だけどねえ
(‥ )南から来た雲に
覆い尽くされたって
感じかな?
いや、西南から東北へ流れる雲がそのまま北へずれてきたというべきか?
ともあれ
日付が変わる前、8日の昼、ネムノキからのぞく空
南から張り出してくる雲
しかし、もっと高い場所の雲はまるで秋の空のようで、かすむように、崩れるように、東から西へとたなびく
∧∧
(‥ )2枚目、南から来る雲の
\− 上が黒っぽく見えるのは
なぜでしょうね?
眼の錯覚ですか?
(‥ )火星の運河は昔から
興味があったが
境界線を
線として描いてしまった説を
聞いた後では
日常に
隠れているかもしれない
錯視を考えてしまうな
例えばの話、以下の画像を見た時、人によっては真ん中に線があると見なし、実際に線を描くかもしれない。そういう疑惑。
∧∧
(‥ )左右で明度をわずかに
\− 変えただけなんだけどね
(‥ )微妙なんだよな
ちょっと差を大きくすると
途端に左右明白に分かれて
見えるようになるし
あるいはjpeg画像に
圧縮すると
不明瞭だった画面が
明白に分かれて
見えるようになったり
なんとも微妙な案配でな
ただそう、本当は面の違いなのだけども、人間はそれを線を認識する場合がある、という可能性はもっと把握する必要がある。
∧∧
(‥ )ローウェルさんの運河は
\− 論外にしても
スキアパレリさんの
火星のスケッチは
かなり正確ですからね
彼が運河を見たと言った時
そこに何かを認識したのは
確かでしょうな
(‥ )なんか見てるんだよな
認識のぎりぎりの
深みのところで潜って
彼は何かを拾ってきて
しまったし
同じことをした人間が
他に何人かいた
だとするとそこには
何やら必然があるという
ことだ
多分、たわいもない理由なのだろうとは思う。それでも何か原因があったことは事実だろう。もちろん陰謀論めいたこともあろう。実際、ローウェルなんかはちょっとそれっぽい側面もあるらしい(天文台の建築者でスポンサーである彼が、運河に覆われた火星が見えるー! とか素っ頓狂なことを言い出したら、まあ面と向かっては反対しづらかろう)。しかしそういうものをとっぱらっても何か原因があったのは確かだろう。それが天文学的な理由ではなく、認知科学的な何かだとしてもだ。
だが、ネットだのヤフーの質問箱だの見ていると、このあたりの把握がいい加減な言説がまかり通っていることが分かる。どうも世間的には火星の運河に関して色々な話がごちゃまぜになって、あげくに劣化しているようだ。
例えば、
火星の運河騒動は、太陽系最大の谷、マリネリス渓谷を人工の運河だと勘違いしたスキアパレリとローウェルが発端で…
とか言っている人もいるが、これは正しくない。
そもそもスキアパレリやローウェルが注目したのはこういう太い模様ではなく、もっと細い模様だ。望遠鏡や人間の視力の解像度も下回るような細い運河で覆われた火星。こういう主張だからこそ問題になったのである。
彼らが馬鹿だから渓谷を運河だと勘違いしたのだー、というのは勘違いもはなはだしい。
実際、マリネリス渓谷は運河ではなく、もっと大きな模様、チトヌスの湖として伝統的に知られていたものだ。一応、その脇にアガトダエモン運河という模様もあるのだけど、これはマリネリス渓谷とほとんど一致していない。ついでにいうとアガトダエモン運河も模様としてはそこにやはりあるのだ。
∧∧
(‥ )これあれだよね
\− 火星の地形で谷や水路として
運河と一致するのは
しいて言うと
マリネリス渓谷ぐらいかなー
というセーガンさんとかの
指摘を劣化させたものだよね
(‥ )なんかな世の中の人間は
すぐに
”こいつら
阿呆だったんだ理論”で
手抜きしよる
阿呆だったからこうなるんだ! という理論はそれこそ馬鹿が思いつくもので、説明になどなっていない。物事を阿呆や馬鹿で説明する把握と理解は理解などとは言えない。
∧∧
(‥ )阿呆や馬鹿ってのは
\− 説明すべき具体的な仕組みを
馬鹿という謎めいた
ブラックボックスに
丸投げしている状態ですからね
(‥ )それが説明じゃ
困るんだよ
実際、それでは再現も検証もできないであろう?
かくて、馬鹿で物事を説明する理論は、一切、口にしてはならぬ。考えるのも駄目だ。というか、そんなものは考えたなどとは言わぬだろう。