2015年11月3日火曜日
貧すれば鈍する
∧∧
(‥ )図書館が本を貸すから
\‐ 本が売れないんだー
って意見があるね
(‥ )話を簡単に考えてみるとだな
全国に1万の図書館があるとする(実際より多いが気にしない)。
1万の図書館がそれぞれ一冊、1万冊を購入したとする。
その本は本来なら3万人が購入するはずであった。
しかし、その3万人のうち半分の1万5000人が図書館で読む事を決めた。
1万5000部が市場ではけ、1万部が図書館に入り、合計2万5000部が売れた。
∧∧
(‥ )こんな無茶苦茶な設定で
\‐ 考えたとしても
売り上げが5000部減るだけ
ですか
(‥ )まあ大損害ではあるな
こういう非現実な設定が
意味を持つとすれば
だけどね
∧∧
(‥ )それでもあれだよね
\‐ 売り上げが減ったのは
図書館のせいだー!
と信じる人は
新刊図書を
貸し出し禁止にせよー
と叫ぶわけだね
(‥ )じゃあそうすればいい
もちろん、実際にそうなるのかは分からない。売り上げが上がるかもしれないし、反対に、これはおおいにありそうなことであるが、横ばいかそれどころかむしろ下がるかもしれない。
∧∧
( ‥)どうします?
(‥ )言い出しっぺに
責任をとらせればいいさね
当然だろ?
売り上げがむしろ減りましたよね。補填してもらいましょうか。
そう言って、新刊図書貸し出し禁止を言い出した会社や作家を皆で襲えばいい。
襲って金目のものをあらいざらい持っていってしまえば良いのだ。皆で贄贄言いながら食いつぶしてしまえば良い。
これは暴虐の極みではあるが正当である。これこそが提案したものにかかる自己責任というものだ。
∧∧
(‥ )そうなると出てくるのは
\‐ 大企業の社員は責任を
取りたくないから
冒険しないという
黄金のパターンですな
(‥ )だったら好きにすればいい
会社によって貸し出し禁止にするかどうか決めれば良い。
∧∧
( ‥)事務手続きがめちゃくちゃ
煩雑ですよ
ただのコスト高じゃないですか
(‥ )そのコストを上回るくらい
利益があると踏んでいる
わけだろう?
だったら
喜んでやれよという話さ
そもそも貸し出し禁止という事務手続きを図書館に要望するという考え自体、虫が良すぎるのである。それではコストの一方的な押しつけだ。
そんなご都合主義な話が通るわけがない。
∧∧
(‥ )実際にはどうなんだろうね?
\‐ 本の売り上げは落ちてるけど
図書館での貸し出しは
上がっていると言われますが
(‥ )そこから出てくる結論は
消費者に
金がないってことだと
思うけどなあ
もちろん金がない、という事実にも色々な意味がありうる。
それは非正規雇用が増えたせいかもしれない。これは平たく言うと正社員という金食い虫の首を切れないために、新規雇用を安く使い倒し、次世代と会社と国家を衰亡させる悪手なのだが、その結果かもしれぬ。若人よ、親のすねをかじれ。それはあなた方が本来手にしていたはずの富みである。
あるいはもっと大きなことはネットの普及だ。
∧∧
( ‥)携帯で人間同士が
つながる時代に
本など読むわけないだろも
さることながら
(‥ )金の流れがな
そもそも変わっちまった
からな
携帯電話と通信費に1万円を使ったとする。それは新書10冊に該当する。これを考えればどんな結果が出てくるのか明白だ。
∧∧
(‥ )本が衰亡するのは
\‐ 当然だよね
(‥ )人と人のつながりに
本は勝てない
本のコンテンツは今では
ネットで無尽に手に入る
おまけに
金の流れが変わった
もうこれだけで
すべての説明が
可能だからな
この状況において図書館が本を貸すから本の売り上げが落ちるのだ。なんて突飛な発想を持ち出す必要はないし、仮に貸し出しを抑制しても効果は無視できる程度だろう。根本的な解決にならない解決策は物事を解決しない。
∧∧
(‥ )でも最近は
\‐ 図書館があるから
新刊が売れないんだー
と言う人が増えたよねえ
なんでだろうね?
(‥ )貧すれば鈍するって
やつだろ?
図書館は昔からあった。もちろん図書館があるから売り上げがー、という意見もあったであろう。だが、その声が大きくなったとは、貧した、ということ。貧したから、わずかな金に目が向くのだ。そして以上のことから考えれば、それにこだわるのは、鈍したというだけの話。
∧∧
(‥ )つまり新刊貸し出し禁止に
\‐ 万が一効果があったとしても
それで伸びる売り上げは
わずかなのだから
根本的な解決にはならない
全体的な趨勢に
あらがうことは
これでは不可能である
(‥ )つまりだな
別の手を考えないと
この状況は突破できない
そういうことだ
∧∧
( ‥)それにも関わらず
新刊貸し出し禁止にこだわる
まさにこれは
貧すれば鈍する
(‥ )そしてな
貧して鈍すれば
人は死ぬんだ
さて? 皆さんはどう生きる? それともこのまま一緒に死ぬか?