2015年10月25日日曜日
芸人墓場
先日、床屋へいくとテレビが流れていた。どういうわけかお笑い芸人たちがニュースを真面目に語る、という内容。
そこはさながら、お笑い芸人の墓場。
∧∧
(‥ )...かつては大変な話術で
\‐ 人々を笑わせた人が
今や真面目な話をしている
(‥ )機転やひらめき
とっさの返し
考えてみればこれは
脳に膨大な負荷をかける
行為だよね
40過ぎればそんな能力は脳に残っていまい。
∧∧
( ‥)寿命を終えたお笑い芸人は
真面目なコメンテーターという
芸人墓場へおもむくのです
(‥ )止むを得ないことだよな
これは、真面目な考えはお笑い以下である、ということでもあった。
さて、その時、コメンテーターとしての芸人たちに与えられたお題はよりによって人工知能であった。2045年にやってくるという人間を越えた人工知能とシンギュラリティ。
∧∧
(‥ )”..怖いですよね
\‐ 科学は人のためにあるのに
科学が発展すると人は
不幸になりますよね?”
だそうです
なんか当たり障りがない
コメントですなあ
(‥ )シンギュラリティなんか
起こらないだろうし
人類の運命は不幸の道だ
そのことが分からんとは
頭の回転がすっかり
にぶっておるな
笑わせることができないのみならず、真面目に考えてそんな程度の結論では駄目だろう。
その時、テレビの中にあったのは、まさに墓場の死体。
いや、彼はその時、当たり障りない答えを模倣しただけであったかもしれぬ。
∧∧
( ‥)真面目に考えると
どうなんでしょうね?
(‥ )以上のテレビを見て
言える事は単純だ
真面目な答えは
模倣が容易であり
笑いを取るのは再現が
非常に難しい
つまり、こうである、
シンギュラリティはこない。人間の神経構造と脳を模倣することは一世代後でも無理だろう。ただし、膨大な演算と統計から人間がするだろう受け答えを、外見上模倣することはできるかもしれない。人を外見だけ模倣している人ならざる者。つまりレプリカントである。
∧∧
(‥ )そしてまじめな受け答えは
\‐ 再現しやすい
少なくとも僕らの経験では
そういうことになる
(‥ )反対にお笑いは
再現できない
そういうことだろうね
もはや歳を取り、いまや真面目なコメンテーターに零落したお笑い芸人。というか、かつてはそうであった者の姿を見て導かれることとはこれである。
これゆえ、次のように予想する事ができる。
一世代後、シンギュラリティもどきが到来した時、人工知能に科学の展望を尋ねたら、彼らはこう答えるだろう。
おかしな話で科学が発達すると人は不幸になっていくようです。なんででしょうね?
再現されるべきありふれた返答とはこういうものだ。