2015年5月1日金曜日
売れない本を売るには、さてどうしたら
ティラノサウルスって研究が進むと夢が壊れていくよね。
∧∧
(‥ )だそうです
\‐
(‥ )それを言う人たちは
ティラノの寿命は
30年ぐらいで
その寿命であの巨体を
成立させるから
無理矢理なことをしていた
ハンターだってことは
多分知らないよね
じゃあそういう話を書けば本が売れるのか? と言われれば
∧∧
( ‥)そんな本が
売れるわけがない
( ‥)というかそういうことは
‐□ 本に書かれているのだ
書かれていることを知らない、ということは、本を買わないし、あっても読まないし、そもそも読者はこんなことに興味は無い、そういうことでもある。
*実際、研究者がしばしばがっかりするのは、恐竜の研究をしたい! と言ってくる学生の多くが、実のところ”生の恐竜が好き”という困った事実なのであった。要するに恐竜に興味を持つ人間も、所詮は復元画が好きなのであって、生物としての恐竜や、その再現に必要な骨に興味があるわけではないのである。
**そういう意味では恐竜に対する一般の興味は自然科学のそれではない。文化的な興味でしかない、そういうことでもある。
∧∧
(‥ )ティラノに羽毛が生えたのは
\‐ 嫌である
(‥ )それもあれだよね
研究や根拠うんぬん以前に
歴史を知らないよね
恐竜というのは19世紀の発見からしばらくたつと、妙に日陰者扱いされてしまったのであった。恐竜は爬虫類である。爬虫類は体温調節ができず、寒いと動けない劣等な動物である。だから恐竜も不活発な動物だったのだろう。冷血でのろまな恐竜は、温血で賢い哺乳類に覇権を奪われたのだ。哺乳類に卵を食われ、気候が寒くなって絶滅したのだろう。そんな俗説がはびこった時代があった。
これに対し、恐竜ってむしろ哺乳類のような温血動物じゃね? という意見が出てきて論争になった。今にして思えばこの論争。レベルとしてはかなり稚拙なものであったが、方向性自体はまあ正しかった。そうして、恐竜は実際には活動的で体温も高かったでしょう。なんとなくそういう方向へ落ち着き始めたちょうどのその時、羽毛のある恐竜化石の発見があったのだ。
こうして90年代以後、恐竜は活動的な爬虫類で良いらしい、少なくとも一部のものは温血動物であり、この活動性ゆえに陸上を制覇した。そういう理解に定まった。今はもっと理解と拡張が進んでいる。
∧∧
( ‥)それを考えれば
ティラノに羽毛があるのは
覇王の証なんですけどね
( ‥)歴史を知らないと
‐/ そうは感じないのだよね
まあ、最近描かれる
羽毛ティラノは
毛が長過ぎで
寒冷地のマンモスみたい
だけどな
しかし、こんなことを書いても、誰も興味を持たないことは明らかである。
なぜってこういうことを書いた本もすでにあって、それを知らない時点で不満を持つ人が本を買っていないことは明らかだ。すでに結果は出ているのである。
∧∧
(‥ )でもこれはあなたにとっても
\‐ 困ったことだよね
(‥ )恐竜の本の仕事が
あるんだがな
以上のことを踏まえれば
それは売れる本にならない
そういうことなんだよね
∧∧
(‥ )恐竜の本はびっくりするほど
\‐ 売れないからね
(‥ )困ったねえ
どうしようかなあ
司馬遼太郎の創作を史実と勘違いして語る人がいる。それを歴史家はいやがると聞く。
∧∧
( ‥)そりゃそうだ
( ‥)おかしな例え話を
‐/ するとだな
ガンダムの1年戦争を史実であるとする。連邦軍は戦意高揚のために英雄アムロ・レイのドラマを制作したのだが、これがもう嘘っぱちだらけで、あまりの美化ぶりにアムロは発狂寸前、皮肉屋のカイ・シデンもこれに関しては何か言ってはいけないと固く心に決めて、なにかとアムロに配慮する始末。
∧∧
(‥ )でも一般の人にとっては
\‐ それが史実になっちゃうの
だよね
(‥ )この状況下で
アムロって機械オタクで
爪をかむ癖があるよ
とか言ったらな
まあ一般人は
いやがるよなあ
一般人が望むのは業績に見合うだけの英雄のドラマであって、一個人の人間ではない。
しかし、史学や科学は証拠から一個人の姿を復元するのが仕事である。
これゆえ自然科学は人々の需要に対応できないのだ。
∧∧
( ‥)それでも可能な限り
売れる本を作れと
( ‥)一体全体
‐□ どうしろと...
当たり前の話だが、革新的な策があるわけでもない。