2014年6月13日金曜日
電子化はコンテンツ置換の問題、雑誌はコンテンツ争奪の問題
そういえば、自分は以前、tumblrを初めて知った時、そのあまりの恐怖に衝撃を覚えて、雑誌編集者に話をしたことがあった。
雑誌は、全てではないにしても、もはや食われるだけではないですかね?
∧∧
(‥ )その人は、
\‐ はー? たんぶらー?
と言っていましたけども
(‥ )その後、新しく雑誌を
立ち上げたけども
今はどうしてるのかな
もちろん、雑誌はネットにただ食われるだけではないのだろう。そもそもネットを見ないで紙しか読まない人もいるのだから。紙を読む事がステータスだ、そう信じ込んでいる人もいるのだから。
∧∧
( ‥)それを保守主義とか
ネットの集合知を
考慮しない
愚か者の行為と評する
人もいますけども
( ‥)いやあ
‐□ 紙か電子か? それは
議論の重要な部分では
ありえない
ゆえにそういう意見も
的外れだよな
紙に印刷しようが、電子にしようが、中身は同じなのだ。つまり、質に関する議論は実のところ紙とネットの違いではない。
集合知とかいうのにしてもそうである。それは分母の話であって、紙とネットの違いではない。日本語のwikiよりも英語のwikiの方がかなり正しいけども、やはり絶望的な間違い、ちょっと知っている人間なら絶対にしない間違いが見つかるし、英語のネイティブであるにもかかわらず、引用した英語の文献を明らかに読んでいない例もある。
これは分母と経験の話であって、紙とネットの違いではない。
英語圏の方が分母が巨大である。編集部は依頼すべき相手を知っている。自主的に編集を行う人間はただの勘違い野郎かもしれない。単純にそれだけの話。
集合知は紙とネットの問題でもないし、違いでもない。
というか、思うにだ、紙と電子書籍を、フィルムとデジカメと同じ枠組みで考えることがそもそも間違いなのだろう。
∧∧
( ‥)カメラの場合、
コンテンツは外に
あるんだよね
(‥ )コンテンツを記録する機械
それが置き換わっただけの
話なんだよな
これは実に容易なことよ
機械を売るだけで良いの
だからね
だが、本はそういうわけにはいかない。コンテンツそのものを置き換えなければいけないからだ。
∧∧
(‥ )人によっては
\‐ そんなの簡単です、と
言うのだけどね
(‥ )簡単なものかよ
電子化の手間
うんぬん以前に
再契約をしなければ
いけないのだからな
事務手続きにかかる
時間も経費も
馬鹿にならん
しかも、人々が物色して満足できるほど巨大なコンテンツを作らねばならぬ。ショッピングモールを作るどころの騒ぎではない。もっと大事だ。経産省が東北支援とからめた緊急デジタル化による電子化書籍、その数6万5000冊でさえも、まったく足りないのだ。
*最終的に8万冊を越えたらしいが、状況の劇的な改善は無理だろう。
∧∧
( ‥)電子書籍を軌道に乗せるには
これからさらに10年
20年かかりますかね
(‥ )産まれたばかりの火山島に
森と畑を作るには
長い時間かかるもの
そういうことよな
以上を踏まえれば、紙と電子の議論はかなり混乱的だと言える。重要な要素を無視したり勘違いして、ずれた議論を行っているのは明らかだ。出版界が電子化を阻止する陰謀をたくらんでいる、という解釈もそのひとつだろう。それらは事務手続きのことを全然考えていない発想でしかない。社会人がそういうことを真顔で言うのなら、それは会社における立ち位置と経験を物語ることになるが、さて、そんな評価をされうることを、例えばあなたなら、自分なら良しとするか?
∧∧
(‥ )電子化でもうかる条件さえ
\‐ 整えば出版界は
雪崩をうつように
動き出すでしょうしね
(‥ )世の中は金よ
だがしかし
今は無理なんだよな
なぜか?
金がないからだ
ある人、曰く
海に入って
ビッグウェーブを
待っているけども
まだこないとね
まだ無理だ。だがいつか必ず来る。それを待っている。そのために今、こつこつと電子化が進行しているのだ。その時は必ずやってくる。
∧∧
( ‥)それを考えると
ネットなど
なにほどのこともない
(‥ )とっ、思っていると
足下をすくわれるのだな
なんでかというと、以上の話は、コンテンツを電子化するのにあまりに手間がかかりすぎて、今はまだ条件が整わない、良くも悪くも時間的猶予があるという話だった。
だが、しかし
∧∧
( ‥)雑誌のコンテンツは
もうネットの中に
あふれているんだよね
みんなが作り、描き
書き、抜粋し、
連鎖する様々な変異
そして無限の引用
コンテンツが
尽きることはない
(‥ )紙と電子という
上っ面を剥ぎ取ればだ
出版界は安泰でも
雑誌の総崩れという
未来が占えてしまう
わけだ
出版界の電子化はコンテンツを電子化し、置き換えることが問題だ
だが、雑誌の問題は、コンテンツが争奪されてしまう、ここにある。
だとすると以上の二つは同列には扱えない。そうなれば、出版界が存続してもなお、雑誌の総崩れ自体はあり得ない話ではなくなる。
さてさて、皆の衆、いかにしてこの難局を切り抜けようか?
これは、hilihiliのhilihili: これは凶兆の続き