2014年3月12日水曜日
陰謀の中に陰謀があるのだ
∧∧
(‥ )考えてみれば
\‐ 「鞭打たれる星」の
マッキーさんの
そそのかしって
とんでもない内容ですよね
(‥ )チェオ、お前は
関連する能力を持っている
そうである以上
お前はアブネーズを
殺さなければならない
そうでないと自我を
喪失するぞ
このそそのかしには二重の意味がありうる。首謀者であるアブネーズを殺せ、だけではない、チェオにアブネーズを殺させることで、彼女に関連づけられているすべて、アブネーズとその取り巻き、チェオをも含めるすべての者たちを、チェオ自身に破壊させるという陰謀。
陰謀の中に陰謀が隠されているのだ。
∧∧
( ‥)結果的にこの陰謀の中の陰謀は
実現して、それがこの小説の
オチになるわけですけども
問題はこの陰謀が
本当に意図されたものかどうか
そこですか
( ‥)当たり前だけども
‐□ 作者は分かっている
わけだよね
問題は主人公のマッキーは
それを把握したのか?
把握しているとして
ハーバートは書いたのか?
把握したとしたら
物語のどの時点で
把握したのか?
それが問題だろうな
∧∧
(‥ )設定上は皮肉な展開なの
\‐ ですよね
人間であるマッキーさんは
物語の冒頭では
関連性がまったく
理解できないのに、
最後はそれを誰よりも
把握するようになる
(‥ )チェオたちパンスペッチは
関連性を使っているけども
なんでそうなるのか
理解できていないし
まったく無意識なものだ
パンスペッチの局長、
ビルドューンの台詞として
そういう説明が
出てくるしね
∧∧
( ‥)チェオさん、そこを突かれた
(‥ )マッキーのそそのかしの
表面の部分、
自我を喪失するぞ
そこだけに目が向いてね
関連性の要である
アブネーズを殺したら
関連性の
ネットワーク全体に
彼女の死が波及する
肝心なここにはまったく
思い当たることなく
まんまと罠にはまるという
問題はである、物語の展開それ自体は確かにそうなのだが、本当にそういう話として書かれたのか? というのはこれだけでは分からない。
∧∧
(‥ )でもハーバートさんって
\‐ そういうことをする人....
ですかね
(‥ )砂の惑星でポウルが宿敵
ハルコーネン家の当主
ファイドラウサを
一騎打ちで倒した時、
ポウルは
卑怯とも言える手を
使ったことが暗示されて
いるよね
まあ、お互い様なんだがな
主人公がそんな手を使ったこと、これは明言はされていない。
ファイドラウサのような危険人物には魔女たちがひそかに条件付けを埋め込む。その言葉は...と教えようとする母を静止して、部下たちと降伏した皇帝たちの面前における王族同士の一騎打ちカンリイ。それに挑んだポウル。毒を塗ったナイフ、さらに腰のベルトから突き出る毒の隠し針を使うファイドラウサに、体勢を崩された最後の最後で言うのだ、
「そんなことは言うものか!」
と
∧∧
( ‥)そのほんの一瞬の
筋肉の硬直で充分であった
予知能力者である
ポウル・ムアドディブにとって
語られぬ言葉を知ることなど
可能の範疇ですからね
( ‥)ハーバートさん、
‐□ のりで書いている節も
あるけども
あの人の本には陰謀が
埋め込まれていること
あると思うのだよね
これはhilihiliのhilihili: 主人公はチェオだったのかもしれないの続き