2013年12月5日木曜日
来たれ! ジャガランディ
∧∧
( ‥)どうよ?
( ‥)んーー
‐□ ジャガランディと
ピューマは近縁だ
という主張だね
ジャガランディは中南米のネコ=>ジャガランディ
ピューマはマウンテンライオンともパンサーとも言う北米のネコ(でかい)=>ピューマ
∧∧
(‥ )なんかネットだと二つを
\‐ Puma属にしてまとめる
表示が出てきましたね
(‥ )手元にある
[Walker's Mammals of
the World] 6edでは
Felis属、
つまりネコ属だな
ピューマ属の妥当性はともあれ、ジャガランディとピューマはまったく違う狩りをする動物であるにもかかわらず、筋肉に関して特異な派生形質を共有している(つまり近縁だろう)という仮説。1990年の論文。
∧∧
(‥ )でっ、これがチーターの
\‐ 起源論に関わってくる
わけですね
(‥ )チーターがピューマの
系統から出現して
起源が北米という説がある
それに対して、
チーターとピューマは
別系統という仮説が
あるわけだ。
1990年の論文は、別系統だ、という見解を論じたもの。
しかし、そこでよもやジャガランディが出てくるとは
∧∧
(‥ )結構、まるっこくて
\‐ 可愛らしい野生ネコさんだよね
でも大きいのだと体重が
9kgもあるんだ
(‥ )ジャガランディって
気になるネコだったけど
こんなところで記述を
目にする事になるとはね
世の中、どこで
つながってるか分からんな
そして1990年の論文。これはなかなか。
∧∧
( ‥)自分たちが作った分岐図
‐□ これ自体はチーターが
ピューマから進化したことを
示唆するものだよね。
でも自分たちで否定して
いるんだ
(‥ )確かになあ、
怪しいと思うよ
出来た事は出来たが、しかし、これ、ちょっとやばくね? というものなので。
∧∧
( ‥)単純に原理主義的に考えれば
分岐図はデータが示す
最良の仮説を示すもの、
それに従えば良い。
なんですけどね
( ‥)ところがだよ、世の中
‐□ そんなきれいごとでは
やっていけない局面が
必ずあってだな。
これとは反対に、分岐図が自分の考えた仮説と違うから、分子系統学の都合の良い結論に飛びつく浅はかな馬鹿、がやはり馬鹿であるように、翻れば、じゃあ分岐図の結論だけを信じていれば良いじゃん、なんてことも、これまたあるわけがない。
∧∧
( ‥)分子系統学はデータが
多いから良いではないか
という主張
(‥ )愚かよな、
データを可能な限り
多く取っていくと、
すべてが同一になって
識別できなくなってしまう
昔から言われていることよ
∧∧
( ‥)データをたくさんとって
系統解析したらこういう
分岐図が描けたから
これを信じなさい
という意見
(‥ )それもまた愚かなり
データには質というものが
あるのだ
考えてみればこれはどっちも同じ問題なんである。
∧∧
( ‥)データの量さえ大きければ
それで良いのだ、
量だよ量、と
まるで質を軽んじるかの発言
これが大間違い
( ‥)そもそも僕ら自身、
‐□ 必ず質を見極めた上で
データを取捨選択して
いるのだよね
彼女を口説く時に彼女の指の第二関節のしわの数を知ろうとはしないように、データの数さえ多ければ良いでしょう、なんてことがあるわけないし、そんなことを人はしない。
まあ、ある意味あれなんだろう。研究者の技とはいかに魅力的な仮説を思いつくか、もさることながら、
データの質をいかに見極めるのか?
あるいはデータの抽出自体が機械的にほぼ自動化されるようになっても
どこに注目してデータを取るべきか
そもそもそれをどう解釈するか
そこにかかっているということなんだろう。そして、これこそがプロの技。
∧∧
(‥ )とはいえ、しかし、
\‐ この状況をどう説明します?
(‥ )チーターの北米起源説は
説得力があって魅力的だが
根拠が怪しい、
そう書くべきかなあ
ところで
∧∧
(‥ )ジャガランディさんの学名って
\‐ Felis yagouaroundiなんだね
(‥ )イァゴランディって
読むのかい?
∧∧
( ‥)ニャゴランディ
(‥ )うほっ、なんか萌える