2013年10月23日水曜日
弓とファランクスだけを比べるのは無意味
hilihiliのhilihili: 弓とファランクスの続き
∧∧
( ‥)単純にまとめると
(‥ )ギリシャの重装歩兵が
弓矢とかをあまり
意識してない戦闘方法
だったのは多分、
事実なんだよね。
さもなければ対戦したペルシア軍が、弓兵も騎兵も無しに突っ込んでくるなんて正気じゃない、なんて言わないだろう。
∧∧
(‥ )でもそれじゃやっていけなく
\‐ なっちゃうんですよね
(‥ )ペルシャ戦争の次の
スパルタとアテナイの
戦いでは、もう軽装歩兵や
弓兵が出てくるのよな
例えば孫引きだけども「戦争の起源」186〜187ページを参考のこと。散兵の使用で、重装歩兵はなす術無し。かつてテルモピュレイで玉砕をとげたスパルタ市民軍、撤退するギリシャ連合軍のしんがりを友軍と共に勤め、最後の一人まで大ペルシャ帝国と戦って全滅したスパルタの重装歩兵が、あろうことか降伏するという事件が生じた。
重装歩兵だけでは勝てなくなり、さらに市民軍と重装歩兵に頼ったスパルタやアテナイは、自らがそういう新しい兵種を用い始めたのにも関わらず、凋落していくことになる。アリストテレスの文章にもアテナイは若者に投げ槍、カタパルトの使い方などを教えるようにするなど、時代に即した対応が記されている。だが凋落を止められない。
*先の書き込みで取り上げた、古代の弓は弱い、というのはこの意味でも実は正しくない。古代には合成弓があったし、そればかりか、機械式の、より圧倒的に強い投射兵器カタパルト、つまり弩が使われるようになっていた。これを発明したのはそもそもこの時代のギリシャ人たちだ。
∧∧
( ‥)そこで出てきたのが
マケドニア王国の
分業されたファランクス
騎兵、散兵ですよ
( ‥)散兵は弓兵や投石兵
‐□ だったみたいね
重装歩兵が弓矢のような武器にあまり対応していない、というのは多分、正しい理解なんだろう。しかしファランクスが弓矢に対応していない、というのはこの意味においてまったく正しくない。
∧∧
( ‥)弓を含めた色々な兵種で
戦争をする時の
ひとつの分業として
槍ぶすまに特化した
重装歩兵軍団ファランクスが
あるのだと
(‥ )戦争を行うひとつの要素
として色々な兵種がある
そこからファランクス
だけを取り出して、
弓と比べて性能や
強さがどうの、というのは
空母と戦闘ヘリと
攻撃機と潜水艦と護衛艦と
この中で一番強いのはどれ?
と問うているような
ものかもしれんな。
たぶん、日本の戦国大名とアレクサンダー、あるいはナポレオンの軍団を比較するのはまだ意味があるんだろう。これらは異なる兵種を組み合わせた軍団だ。だが、要素のひとつでしかないファランクスと弓を比べてどうしたこうした、というのは間違った比較なのだろう。そして古代の弓は威力が無い、というのもおそらくは怪しい。