2013年9月30日月曜日
ネットデビル
うろ覚えで書くと、引用はどこかゆがむ。
∧∧
( ‥)ヒーローの共通点で、
あなたがやったようにね
( ‥)養父母に虐待されている
‐□ それは少なくとも
ラグラン男爵の指摘には
なかったからね=>*
=>hilihiliのhilihili: 努力、友情、勝利を信じた人は帰還できるか?
*ヒーローの共通点を述べたのはラグランさんだけではないので、他の指摘とごちゃまぜにした可能性があるけども、少なくともおそらくこれは自分の勘違いだろう。
∧∧
( ‥)養父母からの虐待、
ハリーポッターや
シンデレラのイメージが
あったのでは?
(‥ )記憶は...それを聞いた時に
思い浮かべた自分の仮説に
沿って補正され、
ゆがめられる、
そういうことかな?
それを踏まえて
リノフリネ・アルボリフェラ(Linophryne arborifera)
∧∧
(‥ )チョウチンアンコウさんの
\‐ 仲間で、
オニアンコウ属の一種だよね
(‥ )これは体長8センチ弱の
個体に基づいて描いた
ものなのだ。
1.5センチの雄が
寄生している。
先日、ネットでこんなような文章を見かけた。
チョウチンアンコウの雄は雌に寄生すると精子袋に成り果てる、と。
∧∧
( ‥)まあ、おおむね正しい
理解ではありますね
(‥ )すべての
チョウチンアンコウ類で
寄生が行われるわけでは
ないのだけどもね。
**例えばチョウチンアンコウ類の代表であるチョウチンアンコウでは、寄生の証拠が見つかっていない。
あるいはネットの文章には曰く、
寄生に応じて、心臓や脳も退化する、とも
いや、確かに一部の骨は退化消失するが、頭蓋骨はきちんと残っているし、脳も残っているだろう。心臓と鰓は退化するどころか、むしろ発達がいい。
退化するのは消化器官であり、縮小するのは眼などの感覚器官だ。
とはいえ、精巣が非常に大きくなって、事実上、存在が精子袋になる、というのはおおむね正しい。寄生できる種類で、寄生に成功した雄は、精巣が発達するので、存在が近似的に睾丸になる、とでも言えばいいか。
∧∧
(‥ )まあ、かなりあちこち
\‐ 間違っているけども、
大枠は正しい理解、
ですかね
(‥ )雄が雌より多いから
一匹の雌にたくさんの雄が
寄生することがある、
これは完全に間違いだなあ
雌に多数の雄が寄生する種類もあるが、一匹の雌に一匹の雄しか寄生しない種族もある。
それにそもそも、チョウチンアンコウ類は、雌の方が多い。
∧∧
(‥ )この誤解はなんでしょうね?
\‐ 雌に雄がたくさん寄生する、
だとしたら雌の方が
少ないのだろう、
だとしたら雄が多いのだ、
そういう風に解釈が
事実にひっくり返ったのかも
(‥ )雌の方が少ないのかな?
雄の方が多いのだろう、
雄の方が多いからだ。
疑問が解釈になり、
ついには原因となる。
そういう流れかもね
こんな実験がなかったか? 三角形を被験者に覚えさせる。後日、その三角形を描いてもらう。時間が経つに従って、被験者が思い出して描く三角形は、より、きれいな、ある意味では抽象的な三角形に移行していく。
∧∧
( ‥)理解しやすいように
解釈を変造してしまう
(‥ )おいちゃんが、
ヒーローの共通点で
やったように、かな
さらに解釈は進んで、深海では雄と雌の出会いが少ない、だからこのような寄生が進化した、とも。
あるいは、深海では餌が少ないから同種同士の競合を避けるために、雄が小型化して雌に栄養が集中するようにしたのだ、とも。
∧∧
(‥ )昔はそういう解釈を
\‐ よく聞きましたよね。
今から考えれば
群淘汰とか種淘汰の
考えで誤りですが
(‥ )出会いが少ないから...
これはおいらも
書いたことあるかもなあ
群淘汰。ようするに種族のことを考えて進化が進むというアイデア。これは誤りで放棄された。いや、誤りじゃない、マルチ淘汰理論というものがあって、という人もいるけども、そういう声が上がった時は、それが受け入れられている仮説かい? それにその淘汰の単位が”実在するのか?”と問えば良い。マルチがうんぬんとか言い出す人はそこまでちゃんと考えていないもんだ。
まあ今ここでここに注目すると話が脱線するので、詳しい議論は書籍かなにかでするとして...
∧∧
( ‥)チョウチンアンコウさんたちの
場合はですよ、実際は....
( ‥)おそらくは、小さくても
‐□ 性的に成熟できる雄は
小型化する方向へ
進化が進んだ、
意地悪な言い方をすると
大きく成長するには
生存率が下がる、
そのリスクを雌にだけ
押し付けて雄は
世代交代の向こうへ逃げた
そういうこと
なんだろうけどもね
とはいえ、しかし、チョウチンアンコウ類の雄は異常に小さい。こんな極端な小型化を遂げた深海魚は他にほとんどいない。
∧∧
( ‥)なぜ彼らでは
ここまで小型化が
アクセルされたのか?
そこが課題であると
(‥ )見方を変えれば、これが
スタンダードな
ダーウィニズムの偉大な
ところよ、
群淘汰論者は
種のためですと言っては、
こういう解くべき謎を
賢し気に
分かった気になって
覆い隠してしまう。
理解とは無様なものよ。
とはいえ、謎は多い。というか研究した人がどうも見当たらない。多分、研究するには厳しいからだと思うけども。
∧∧
(‥ )それに発光器の装飾が
\‐ 謎ですよねえ、
普通に考えれば
性淘汰の産物なの
でしょうけども
(‥ )性淘汰の条件は整って
いると思うのだけども
どう理解すれば良いか、
途方にくれる点があるのも
事実なんだよな。
研究も見当たらないし、
困っちゃうよね。
ついでにいうと
∧∧
(‥ )イラストではお魚さんの色が
\‐ 赤っぽすぎではないか
とも思えますけども
(‥ )チョウチンアンコウ類は
黒、あるいは紫、
あるいは黒に近い茶色、
あるいは黒に近い赤、
チョコレート色などなど
なんかよく分からない
側面があるんだよね。
水中撮影での色のぶれ、、
保存液で脱色した標本、
撮影時における露出、
魚自体の健康状態、
生きてる生物なのに
まる恐竜復元なんだよな
それに、強烈な色を使わないと印刷ではきちんと出てくれない、という現実的な問題もある。
∧∧
( ‥)なにはともあれ、
作業ですね
( ‥)可能な限り妥当な情報で
‐□ 本を埋め、
ネットしか使わない人間と
ネットと本の両方を
使いこなせる人間の間に
格差を作り出すのだ。
どっかの俺様鳥進化論者のように、たった一週間の手間をはぶいて論文を読まなかったばっかりに、自分は科学者の間違いを見つけた、誰も見つけていない真実を自分が発見した、そう己の勘違いと思い込みで邁進し、何年もの時間と人生を無駄に過ごしてしまうことがある。読んでさえいれば、英語の辞書をひいてさえいれば、こんな馬鹿なことにはならなかったはずなのだ。つまり、ネットにも、本にも、論文にも、そこには体力の壁がある。馬鹿の壁なんてのは小賢しい言い方で、実際には頭の良し悪しではない。そこにあるのは体力の壁だ。能無しのデブがどこにもいけないように、体力がないともうどうにもならない。考えただけで物事が正しく把握できるなら、ではアリストテレスはなぜ間違いだらけだったのか?
そして体力が人々に壁を作るのなら、ネットも壁を作るだろう。ワンクリックを惜しんだだけで人は壁の向こうへいけなくなる。同様の理由で本は啓蒙のための道具たりえない。本を読まない人間と、読む人間の間に格差を作り出す。それが本というものだ。
では、格差を作る旅へ