2013年9月1日日曜日
アリスタルコスと溶岩の川
∧∧
( ‥)お月様〜♪
( ‥)ケプラーが夕闇に
‐□ 沈みかけて、
アリスタルコスが
だんだんよく見えて
まいりましたー
アリスタルコス。人物としては紀元前3世紀に、月と地球と太陽の相対的な距離を求めた人。残念ながら基づいた観測結果に誤謬があったので計算結果自体は間違っていたが、数学史と天文学史において、これは画期的な仕事だった。
:アリスタルコスの業績について知りたい人は「世界の名著」中央公論社 第9巻 ギリシアの科学 pp510 太陽と月の大きさと距離について を参考のこと。この本は市立図書館以上の図書館なら置いてある。
∧∧
(‥ )アリスタルコスクレーター
\‐ そこから伸びる
Vallis Schroteri が
観測できましたね
(‥ )気流の状態が良い時に
くっきり見えるんだが
なにぶん、朝の月は
ここから見ると東京とか
川崎、横浜があるせいか
高度が低いと気流が
悪くてなあ。
ともあれ、見える時はきれいに見える。月面最大のrille 直訳すれば流路とか、小川。
∧∧
( ‥)実際には空気のない天体なので
それでも流れる液体、
例えば、溶岩が流れて
出来た谷ですね
( ‥)長さ125km、幅4.5km
‐□ 地球じゃ考えられない
規模の流れだよな
アリスタルコスクレーターの周りは周囲の海よりも少し標高が高い。いわゆるアリスタルコス高地。あるいは台地とか高原。
*スケッチでは中央のケプラーから見て、やや左上。2つのこぶりなクレーターが並んでいるのがアリスタルコス高地。右がアリスタルコスクレーター、左がヘロドトスクレーター。
**ここで話題にしているVallis Schroteri はそこからほんの少しだけ伸びる黒い線のこと。ちなみにこの大きさだとヘロドトスクレーター周辺の影と区別が難しく、以上のスケッチでも、両者はつながっている。
∧∧
(‥ )この高地は、見た目は
\‐ 巨大な火山のようにも
見えますよね。
(‥ )でも、資料によると、
この高地って古い地形の
名残なんだってさ。
嵐の海が出来る時、周囲が溶岩に覆われてここだけがぽつんと残り、それから隕石衝突があったり、どのタイミングでか溶岩が流れ出して谷を削ったそうな。
∧∧
(‥ )アリスタルコスのお隣の
\‐ ヘロドトスは中が溶岩で
埋まっているのですよね
(‥ )でもアリスタルコスは
きれいなままなのよ
どんな順番で、どう何が起こったのやら。
∧∧
(‥ )ここは地質的に非常に
\‐ 興味をもたれていて、
論文が多いみたいですね
(‥ )まあ、そんなことが
分かるだけでも、
スケッチの価値は
あるよね。