2013年7月27日土曜日
理念の破壊者
hilihiliのhilihili: ゾンビウォーズの続き
∧∧
( ‥)つまり
(‥ )ようするにあれだ
ゾンビってのは、
あらゆる理念を
打ち砕く存在だって
ことだな。
憎悪がなくとも戦える
宣伝されなくとも殺せる
愛国心がなくとも踏みとどまれる
敵意がなくても破壊できる
知性がなくても侵入できる
論理がなくても突破できる
愛国心を煽る右翼も、美しい国と熱弁する理想主義者も、知能こそが何にもまして素晴らしいと信じる左翼も、問題は計画と理論でこそ解決できると信じるマルクス主義者も、民族と血と歴史の誇りを連呼するファシストも、憎しみと武器さえなくなれば平和が到来すると信じ込む博愛主義者も、イデアに接近することが勝利だと思い込んでいる知性主義者たちも、
∧∧
( ‥)これら皆の想いを
無惨に打ち砕く存在
それがゾンビ
( ‥)まあ、これ、
−□ 昆虫とか病原菌が
普通にやっていること
なんだがな。
知性がなくとも数と生産力さえあれば問題を解決し、すべてを圧倒できる。
∧∧
(‥ )確率と機械的な淘汰
\− これだけで十分機能する
なんのこっちゃない、
ゾンビの恐ろしさは
ダーウィン的な解探索の
威力と脅威ですよね。
(‥ )考えてみれば、
右翼も左翼も、
ダーウィニズムを
理解できなかったのは
意味深だね。
右翼や左翼の知識人が飛びついたのは、ダーウィニズムではなくて、ファシズムだったり、あるいは今西進化論やルイセンコ主義や断続平衡説だった、というのは意味深だ。要するに、彼らは理性という上っ面に飛びつく連中で、腹が減っては戦はできぬ、とかそういう地味なことに眼を向けないんだろう。
∧∧
( ‥)そしてゾンビはそれら
知性主義者に
対する挑戦であると
( ‥)人の形してるけど、
−□ もう死んでるから
撃っても良い。
そういう理由で
シューティングゲームの
世界で普及した
そう思っていたけども、
意外におもろいアイデア
なのかもしれんね。
ゾンビを、蔓延する死者とあふれる死の世界、と見ればホラーだが、ホモ・サピエンスであることをやめ、集団として解探索を行う巨大な演算装置へと変貌した人類、と考えると意味合いはずいぶん違ってくる。
∧∧
( ‥)まさに終末の形、
しかしそれは最後の審判、
死者の復活ではなく、
人類の新たな変貌という
SF的な意味合いを
帯びてくると。
さながら幼年期の終わりの
ように。
( ‥)人類の新たな一歩。
これ自体はダーウィニズム
ではなくて、
中世的な上昇の梯子の
イメージなんだけどね。
ゾンビは人類が
ダーウィニズム的な
演算装置に変貌する、
という物語であることを
考えれば皮肉な話だな。
以上、こんなことは荒唐無稽な話ではあるけども、だが、戦争は結局、体力だってことは言えるだろう。
∧∧
( ‥)機械化が進んだ軍隊は
体力よりもむしろ工業力だと
言う人もいますけどね
(‥ )社会的な、という意味では
工業力こそ
体力そのものさね。
いや、まさにそうではないか? ほんの70年前まで軍人貴族に支配されていた国家が慌てて開国し、列強に追いつこうと努力したが、しかしどうにもならなかった。それがWW2における日本の敗北だというのなら、まさにそうではないか。
社会的な体力がないから勝ちようがない。
∧∧
( ‥)大出力のエンジンが作れない
から、ものすごく軽い構造の
零戦を作ったり、
それを牛さんで運んだりね
(‥ )工業力ってのは
天才的な技師がいる
だけじゃ意味ないんよね
技師を育てる学校や、
工業それ自体を支える
色々な事柄、電気、ガス、
水道、運輸、道路、
さらにそれら自体を
使用し、整備する人々、
それらを支える伝統、
これ全部必要。
武器や戦術や愛国心を人間は注目しがちで、それを支えるのは社会そのものだってことを、すぐに忘れる。
∧∧
(‥ )パソコン買えば明日から
\− クリエーターだ。
言うのは勝手だけど、
そんなわけにはいきませんし
(‥ )社員にはっぱかければ
生産効率が上がるかって
言うと、そんなことは
ないからね。
ゾンビはそういう人間の思い上がりを破壊してくれる使者だ、とも言える。たいがいは、ぱんぱん撃たれてばたばた倒れるだけだが。