2013年6月20日木曜日
無くせると思い込んでいるのは危険
ふと思い出した。数年前、取材先でタクシーに乗ったとき、どういうわけか、運転手のおっちゃんと異常犯罪の話になった。理由は覚えていない。当時、なにか事件があったのかもしれない。
彼は言った「ちゃんと心を込めて教育すれば、ああいうのはなくなると思うんだよね」
∧∧
( ‥)あなたは言ったのです
いやあどうでしょう、
異常な者は異常で、
それは必ず産まれて
きますから、と
( ‥)僕らは離合集散する
遺伝子の集合体だ。
自らを殺す
致死的な有害遺伝さえも
潜在的にもっている。
たんにメンデル遺伝からも明らかなように顕在化していないだけだ。
∧∧
( ‥)これを遺伝的な決定論だと
無視する人もいるでしょう
( ‥)じゃあこう言うなあ
人は遺伝子の奴隷ではない、そう言うのは勝手だけどさ。心は体の奴隷ではない、それは体の造りを無視して、人の心をまるで粘土のごとく自在に作り替えられる、そういうことだが、それで本当に良いの?
それは、腹が減っても心はなんの影響も受けない、そう言うに等しい空論ではないのかい?
それが正しいと思うのかね?
∧∧
( ‥)実際は、心とは肉体という
ハードに浮かんだまぼろしの
ようなものでしょ。
( ‥)僕らは手回し計算機
みたいなもんでな
機械的な実体が
反応をつむぐ。
心はそういう動作が
生み出す、影のような
ものだからね。
心を作っても、それは
それだけではガラクタだ
では僕が出資しましょう。
率先して手を上げた人に見返りを与えず、それじゃあ、といって皆が彼に丸投げし、あるいは皆でたかる。
∧∧
( ‥)そういう対応をする人が
多数を占める場合、
集団のためになにかしよう
という人はいなくなる
国のあり方が変わり、
皆はたかられまいと
自分勝手なことを始め、
そうなった以上、
状況はそれに固定される
(‥ )そういうことはいけません
いくら口で言っても
是正できないのだ
そりゃあ当たり前なのだ。これは良いことです。皆でほめましょう。
分かりました。
皆でほめた。
その後、皆でたかる。
こういうことがありうる。
それはすばらしい。あなた良い人です。そう賞賛することと、たかること、この二つになんの矛盾もない。
そりゃあそうなのだ。心は心、倫理は倫理。そして行動は行動だ。同じである必然性はどこにもない。
∧∧
( ‥)困ったことに、これが
マジで起こるのですよね
( ‥)その国は移民で成り立って
いる国で、色々な地域から
人が来るという。
支配者は白人なんだが、どういうわけか、あるいは建国の時の状況がいけなかったのか。隙を見せるとたかられるので、口先はきれいだが、自分のことしか考えてない連中ばかり。まじめな地域出身の移民はいわば二級市民なんだけども、まじめだから必然的にたかられる。ただ、正直なのでそれなりな敬意は受けているらしい。多分、本国がそれなりな力を持っているからということもあるのだろう。
∧∧
( ‥)でも結局はたかられてるって
話でしたね
( ‥)いったこと無い国だけど
話を聞いてると、これが
ひーでーんだよな。
一応、カトリック国
なんだけどね。
賄賂、汚職、無法、貧困、格差、腐敗。
カトリック国だろうが宗教があろうが、腐敗は腐敗。
つまりどうもこういうことらしい。
道徳を決めるのは道徳でも倫理でも心でもない。世界を決めるのは皆が採用する戦略であり、それはその状況下における損得だ。
倫理や道徳は状況の表面に張り付いた上っ面でしかなく。まるで無力。
∧∧
( ‥)これ自体は遺伝と直接は
関係ない話で、
個体が採用する戦略は
周囲の個体が採用する
戦略に左右される、
ということですけど
(‥ )でも同じことなのだ。
少なくとも、倫理や道徳や
心の教育は上っ面でしか
なく、実際にはまるで
無力であるという
意味ではね。
考えてみれば、それは中国を見れば分かる。
∧∧
( ‥)中国をね
( ‥)国家のために働け、
日本許すまじ
そう連呼しても、結局は
「上に政策あり、
下に対策あり」
な国なわけだろ?
いくら道徳やあるべき姿を提示しても、人々は上っ面ではそれを了解するが、結局は下に対策あり、言うことを聞いてはくれぬ。
∧∧
( ‥)信用されていませんと
( ‥)そりゃあ信用せんよ。
言ってる人たちが
既得権益を牛耳って
いるわけなんだから
道徳や倫理はそれだけではただの言葉だ。何の意味もない。
∧∧
( ‥)つまり心の教育をしても
それだけでは何の意味もない
(‥ )仮に言葉以上の模範を
自ら示しても、
それが得にならない限り
人はそんな行動を
採用しない。
さらにいえば、得になって、社会の構成員がそういう行動を取るように固定化されても、人間は機械じゃない。大量生産品でもない。必ず基準からはずれたものが産まれてくる。それをなくすことは出来ない。
∧∧
( ‥)でもなくせると思い込んで
いる人々がいる
(‥ )そこが危険なのだ。