2013年6月6日木曜日
ホタルブクロの朝
時系列的にこちらの続き=>hilihiliのhilihili: カブトムシ生痕
撮影を終えて公園でホタルブクロのスケッチをしていると、早朝なせいか「おはようございます」と声をかけてくる人がいる。朝の5時に歩いている人々だ、みんな年寄りで50代以上。そいつらが挨拶をしてくる。こっちが作業をして、眼を紙に向けていてもだ。
∧∧ 礼儀正しい人...?
(‥ )
–( ‥)いや、あれは多分、
–□ 機械的なものだ。
そうなのだ。例えばの話、お前ら、事務作業をしている人に、無駄に声をかけるのか? ということでもある。
しかし確かに時々、見るのである。公園には坂がある。アップダウンもある。だからジョギングする人は多い。その人たちはしばしば、ぜーはー、ぜーはー、と駆けていく。その人たちにもすれ違いざまに「おはようございます」
∧∧ 返事しない人もいますよね
( ‥)
–( ‥)いや、できないんだよ
–□
ぜーはー、ぜーはー、言っている奴に出し抜けに「おはようございます!」って、馬鹿じゃねえのか? 喧嘩売ってるのと同じじゃねえか。
つまり礼儀正しい人なのではない。あるいは礼儀なんてものがそもそもそんな程度のゴミかすでしかないのかもしれないが、単純に、相手が何をしていようが、今は朝だから会う人におはようございます、と言わなければならない。そういうプログラムで動いているとしか思えない。
ああ、なんということだろう。
∧∧ 何がよ?
( ‥)
–( ‥)老いるとはああいう
–□ ものなのか。
そして俺もああなるのか
ただ反復するだけなのか
単なる機械仕掛けに
成り果てるのか
老いは止められない
人は残骸になる
出来るのは望ましい残骸に
∧∧ なる、それだけでしょ?
( ‥)
–( ‥)以前からの主張だけども
–□ より深刻になってきたな
ホタルブクロのスケッチは3日目で、花がじょじょにしぼみ、そして新しく膨らんできており、草自体も成長し、動いていくのが分かる。ハチが花粉を求めてぶんぶんと飛び回って、袋に入ると花自体がうううう〜〜と羽音でうなる。
∧∧ 彼らも機械仕掛けですが
( ‥)
–( ‥)あの連中は数が多い、
–□ どしどし死ぬ。
そうして解探索をする
集団で試行錯誤する以上
個体の思考が単純でも
問題はないはずだ。
同じ機械仕掛けでも
無力な僕らとは違うよ
なんてことだ。我は知的生物なりと、得意満面な間抜け面で自慢するくせに、実体は解も探せぬカラクリに成り果てているとは。
知性とは、なんという呪い。生と死に対するなんたる侮辱。