2013年5月21日火曜日
望ましい形態に崩壊せよ
∧∧
( ‥)あなたは、丘の上から
夜の町を眺めて見るのが
好きですよね
( ‥)あの灯の向こうには
平均するとまっとうな
人生のすべてが
今、渦巻いていて、
自分のやってきたこと
自分がしていることに
一体何の意味があるのか
それを思えるからね
∧∧
( ‥)何の意味もないことを
自覚するのだと?
(‥ )いや、まっとうで
平均的な人生は
いわば鏡だ。そして
自分は決してあちらには
いけなかったなあ、と
それを自覚するのだ
自分の進路のすべてが無駄に終わるのは織り込み済みだ。そうである以上、自分が誰であるのかを思い出す鏡がなければいけない。
∧∧
( ‥)ずっと一人で走ってきた
報いですよ
( ‥)人と一緒に何かするのは
無理だね。もう手遅れだ
∧∧
( ‥)最初からそんなこと、
望んでいなかったくせに
(‥ )その通りだ。
問題は発狂していく自分が
望み通りの形式に
崩壊できるか、そこだよ
∧∧
( ‥)発狂を止める気はないのだと?
( ‥)ないねえ
なぜなら、どんな人間も老化する以上。自己の緩慢な崩壊を阻止することはできないからだ。
∧∧
( ‥)繰り返しにより強化され
反復した行動を続ける
頑固で意固地で、
愚かで
愚直で、愚昧な自動機械に
成り果てて、肉体は瓦解し
心はメッキのようにはがれ落ち
見た目は人間という、
残骸のみが残る
(‥ )崩壊が阻止できない。
その時、出来ることは
幾らでもあるが
やるべきはひとつだ。
いかに望ましい形態に崩壊するか?
∧∧
( ‥)...残骸でもなお機能する
形だけを残す気ですか?
(‥ )原理的に不可能に思えるが
しかし、なかなか楽しそうな
選択肢だと思わないかね?