2013年4月1日月曜日
詰んだ人生が集う喫茶店
31日、少し足をのばして、その帰り道にひさかたぶりの喫茶店へ。通されたテーブルのはす向かいでは、どうやら親子らしい、歳は30代前半か? 若いのが老夫婦に自分の人生哲学を語っていた
∧∧ 芸人?
(‥ )
–( ‥)なんか、ご本人は
–□ そんなことを言ってるな
声がばかでかいから、いやでも聞こえる
オレにはポリシーがあって...、高い芸はそれを見る客にも高さを要求する...、◯◯という若い芸人がいるけど、あれはやりたくないことをしているだけ....、本当はやりたい芸があるのに、放送作家の指示通りに動いて....、本人も我慢している...、時々、あいつをからかって...、オレは自分を曲げたくない....、ネットの時代は埋もれた才能が発見される時代...、これをうまく活用して....
∧∧ 成功しますかね?
( ‥)
–( ‥)無理じゃね?
–□
∧∧ なんで?
( ‥)
–( ‥)顎が細いから
–□
∧∧ 後ろ姿しか見えませんよ?
(‥ )
–( ‥)まあ、以前言った冗談さ
–□
芸人だの、アイドルだの、イラストレーターだの、漫画家だの、作家だの、目指した連中はごろごろいるのに、成功どころか、生活が出来る者さえ一握り。
∧∧ ほぼ全員失敗する
( ‥)
–( ‥)何々だからお前は
–□ 失敗する。
そう予言すると
ほとんど全部当たる。
当たることが確実な予言は意味がない。
∧∧ では成功すると思います?
(‥ )
–( ‥)成功する要素は
–□ 今の演説に
見当たらないなあ
∧∧ 具体的には?
( ‥)
–( ‥)今の演説に具体的な
–□ プランや道筋が
あったかね?
∧∧ ネットで自分を売るのだと
(‥ )
–( ‥)それのどこが具体案
–□ なんだよ
Aを試し、Bを試した。効果的なのはBでした。
ヒット数を稼ぎたくて、裸になってみましたー
∧∧ それなら具体的だね
( ‥)
–( ‥)あの演説は自分の信念の
–□ 表明だろ? 信念じゃあ
エンジンは動かんぞ。
というか、何してるのか
それすら見えてこない。
∧∧ 高度な芸は科学のように...
(‥ )
–(‥ )客を選ぶと
–□ 言っているね
∧∧ 正しいでしょ
( ‥)
–( ‥)正しかったら破滅だな
–□
科学者は給料をもらっている。
科学には自然のテストがある。
自然のテストは何人も逆らえない
ゆえに科学には普遍性がある(当たり前)
普遍性は武器になる
武器を生み出す科学は必要である
だから科学者は給料をもらえる
これは未来に対する投資なのだ
だがこれは言い換えると、
∧∧ 給料を与えないと動作不可能
( ‥)
–( ‥)芸人もイラストレーターも
–□ 自営業者だよね、つまり
土台が全然違うよな。
科学者は給料をもらっている
という時点で、
じゃあ、給料をもらえないフリーは即死ですね♡
と気づくべきなのだ。
ついでにいうと、芸人のテストは大衆に受けるかどうかであって、自然科学とは基準が全然違う。そうである以上、普遍性は持てないし、投資する理由もない。ゆえに給料はもらえない。
科学者の言うことは分からなくてもいい。動くことはテストで実証済みだ。
だが芸人はそうではない。
科学者と芸人には致命的な相違点がある。
これは、芸人は武器にはなれない、ということでもある。
*ここでの芸人は、本来の芸人以外にもイラストレーター、作家、漫画家、ジャーナリスト、デマゴーグなども含みます。
**ジャーナリストやデマゴーグは恐ろしい武器になる、と言うことは出来ても、機械類の発達はそれをも粉砕してしまう。これは私たち自身の経験でもあるだろう。
∧∧ お客に迎合しなさいと
( ‥)
–( ‥)ぶっちゃけそうだな
–□
もちろん、”迎合すると高度な芸とやらが出来ない”、という主張はそうだろう(どういう意味で高度なんだか知らないが)。
確かにその意味において、彼の主張、”高い芸には、それを分かる高い客が必要だ”、は正しい。
あなたも客に売ることを半分
∧∧ 放棄してるじゃないですか
(‥ )
–( ‥)ああ、そうでないと質を
–□ 維持できないからね。
*科学で売ることを考えると
トンデモになるという意味。
だけどね、客に売らない、
これには実はトリックが
あるんだけどね。
客に売らなくても売りつける方法が、実はある。非合法なやり方ではない。具体的な手段は違うだろうが、おそらくどんな業界にもそういう方法があるのだ。
事実、彼自身が言った。あの売れている芸人は、放送作家の言うことを聞いているだけで、本人は自分を曲げて、いやいや、我慢してやっているのだと。
∧∧ まあ、客に売らない方法だね
( ‥)
–( ‥)客=消費者、と考えると
–□ 見誤ることがありうる。
そういう事例だろうな。
客は視聴者ではく、放送作家だった。
でも、放送作家が芸人を
∧∧ 視聴者に売るのでは?
(‥ )
–( ‥)そうでもあるけど、
–□ だが違うだろう。
この場合、放送作家が視聴者に売っているのは、彼の描いたシナリオと物語と舞台であって、芸人などではない。
∧∧ 客は放送作家だった
( ‥)
–( ‥)放送作家に売りつければ
–□ 客に売る必要はないんだ
∧∧ だけど本人はそれはいやだと
(‥ )
–( ‥)じゃあ...八方ふさがりだな
芸は科学ではなく、そこには普遍性はない
ゆえに芸は投資をするに値しない
しかし、放送作家という客を望まない
しかし、大衆という客も望まない
普遍でもなく大きな客もいない
放送作家、大衆、いずれでもない客とは、マイナーで特殊だということではないか?
∧∧ つまり生活できない
( ‥)
–( ‥)つまり詰んだわけだ
–□
∧∧ 他人事ではないですね
(‥ )
–(‥ )他人事ではないな
–□
ちなみに、この喫茶店、以前、アイドルになるの、という会話をしていた女の子たちがいた喫茶店でもある=>hilihiliのhilihili: あの日、あの時、あの場所には未来に...
∧∧ この喫茶店、呪われてる?
(‥ )
–( ‥)詰んだ人々が集う場所〜♪
–□
∧∧ でっ、どうよ?
( ‥)
–( ‥)アラスカ内陸部の降水量は
–□ 砂漠並み。
寒冷だから湿潤だが、
日当りの良い
南向きの斜面は
ステップやプレーリーに
似た植生になるそうだ。
氷河期の北半球は概してそういう世界だ。そういう主張。
本に眼を通して喫茶店を出た。