2012年12月25日火曜日
客に売る料理はねえ
しばらく前、ある集まりにいった。科学を子供や地域の人に教えようという集まり(書いておくと、しごくまっとうな集まりである)。そこでこんな話を聞いた。中年のおっさん(こんな言い方をその人がしたわけではないが)が以前の会合に来て主催者に曰く、生物学や進化のことを知りたいのなら、これを読みなさい。
そういって彼が渡したのはグールドの本だったという。
∧∧
( ‥)あなたはそれを聞いて
ぶはははっ、と大笑い
( ‥)せーめて、ドーキンスに
–□ しよーぜー
おっさん、慣れないのに
読書なんぞするから
こんなことになる。
一般向きに本を書くとなにが起こるか? 啓蒙書とやらがどんなひどい内容で、いかに学問の実態とかけ離れているか?
しかし、読み手はそのことに全然まったく気がつかないのみならず、とんでもなくいい加減な内容を読んで知って、オレは科学を知り得たと思い込む。そういうことである。啓蒙書しか読まないのだ。気がつかないのは当たり前。
∧∧
( ‥)ようするに
(‥ )残念だがね。一般向けに
本を書くとだな、
まともじゃない本に
どうしてもなるんだ
いや、これは不完全な言い様だ。なぜならほとんどの人は(実はこれこそが皮肉にも健全なことに)そもそも読書なんぞに興味がないからである。
しかし、これは次のことを示している。
∧∧
( ‥)読書と科学に興味のある
人をターゲットにしている
にもかかわらず、
いや、むしろそれゆえに
科学の啓蒙書は
内容が必然的に
歪んでしまう
( ‥)本当は当たり前の話
–□ なんだけどね。
興味があるから読みました。それは”好きな物”だからそれだけを、”おいしそうだから”それだけを選んで食べました、というのとまったく同じ。
∧∧
( ‥)デブ、高血圧、
コレステロールその他
(‥ )好きな物だけ食うな
誰しも、子供の頃に
そう言われているはず
なんだがな。
大人は自由のくせに
自制心がなくてな
そして、客が砂糖と塩と脂が好きなら、作り手はそれを猛烈に使って、実においしい料理として出すのである。
トンデモ本はその意味では”まっとうな”商売なのだ。なんといっても、客が喜ぶものを出しているだけなのだから。
言い換えれば、教科書が読まれないのは当然だということでもある。タマネギとキャベツとチーズがごろんと出してあっても、ほとんどの人は手をつけないだろう。
*本当に知りたいのなら教科書や参考書を読むべきで、分かりやすい本を読むなどもっての他、という意味。微分積分を知りたい人間が「分かりやすい微分積分」という本を読んで分かるわけないだろう、ということ。
∧∧
( ‥)でっ、結果はですよ
書き手は誰しも、
意図しようが
意図しなかろうが、
まじめに本を
書くわけにはいかない
まじめに書いていると
餓死するよ♡
という困った状況に
追い込まれる。
( ‥)まあ、この状況を
打開すること
それ自体は簡単なんだ
∧∧
( ‥)ようするに
(‥ )客に売らなきゃいいのさ
客に合わせると不健康食品になってしまうのなら、話は簡単である。客に売らなければそれで問題解決。簡単。
∧∧
( ‥)そういう方向へ舵を
きりますか?
( ‥)もう、半分ぐらい
–□ きっていたのかも
知れないけどね。
これも運命。というか収束なんだろう。
いつの間にか、こういうことになっていたのだった。
∧∧
( ‥)人によっては、
あんた?? 客に
売らずにどうするのさ?
というでしょう
(‥ )それは知らん人間の
意見よな。そして
もう少し詳しく言うと
こうな。
読者に売る必要はない。
∧∧
( ‥)まあ、具体的なやり方も
普通でありきたりな話
ですしね。
( ‥)客に売らなければいい
–□ こんな簡単なことに
気がつかなかったとは
我ながらうかつよな
まあ、ともあれ
∧∧
(‥ )絵は1枚仕上がりましたね
\–
(‥ )少し休むよ、
体がぎしぎし言ってる