2012年10月8日月曜日
単価戦争
∧∧
(‥ )...どう、思います?
\–
(‥ )そうねえ、ほら、最初は
イラストレーターとして
仕事をスタートさせた
じゃんよ。
しかし、やってみて薄々気がついたのは、イラストレーターと著者は同じお金を奪い合っているようなものだ、ということだった。
∧∧
( ‥)そりゃあ、同じ本を作って
同じ予算を奪い合っている
わけですから
(‥ )きれいな言葉を使えばだ
出版社、印刷所、デザイナー
著者、イラストレーター、
その他、関わる皆さん
これら全部、ひとつの予算を
分配することで成立させる
わけさね
∧∧
(‥ )イラストレーターさんと著者、
\– 両者への支払いにそれぞれ
予算が別途用意される
そういうこともありますよね
より正確には全体の予算から
イラストレーターさんへ、
著者へ、という分配が
それぞれ決定される。
(‥ )大量のイラストを大人数に
振り分けるとか、そういう
仕事ではそうなるよな。
振り分ける中間管理職的な
プロダクションが入る
場合もある。
でも、おいちゃんの
仕事はそういうものではなく
原稿代のおこぼれだったね
おまけに、それ以前に、イラストレーターには仕事がちーともない。
そこで例のごとく良からぬ事を考えた。本が出れば仕事が生じる。
ならば自分で本を書けばイラストも描けるではないか。
∧∧
( ‥)いつものことながら
やることが本末転倒でね
(‥ )とはいえ、これだと
予算丸取りになるわけよ
あくまで、全体の予算の
原稿料の部分だけ、
ではあるが。
∧∧
( ‥)で、どうなりました?
( ‥)今、200ページのテキスト
–□ 100見開き分に必要な
100枚のイラストを
描く仕事をしているよね?
原稿料ってのは、あれは本を作る著者が働けるために渡す必要経費みたいなもので、もし、最初から本の売り上げ分だけ著者にお支払いしますよ、という条件であった場合。
∧∧
( ‥)1000円の本が、まあせいぜい
3000冊売れて、30万、
そこから税金が引かれて27万。
あるいはそれ以下でしょうねえ。
(‥ )それじゃあ著者が作業中に
餓死したりするんで、本が
作れない。そこで70万
ぐらい払ったりするわけだ。
税金を引かれるから63万、
まあ60万ぐらいだと思えば
いいわけよ。あるいは55万
ぐらいかな。
これがすべてイラスト代であると仮定した場合、100枚のイラストを描くのだから。
∧∧
( ‥)1枚あたり、5000か
6000円ですね
( ‥)実際にはテキスト作成も
–□ 考慮しなければいけない、
仮に半々とした場合、
イラストの単価は
3000円ぐらいだなあ。
∧∧
( ‥)それが、イラストの相場、で
あったりすると
(‥ )まあ、計算すると
そういうことになって
しまうわけさ。
原稿料を著者とイラストレーターで半々にするのはこれと同様である(ただし2人でやるのと1人でやるのとでは意味が違う)。絵をもっと評価しようよ!! と言う人もいるが、仮に1枚あたり1万円を払いますよ、と仮定すると、イラストレーターに支払う金額だけで、この場合、100万になる。多分、というか確実に本として成立しない。
∧∧
(‥ )ソーシャルゲームとかの
\– イラスト代が安いって問題
どう思います?
(‥ )んー、本の挿絵と違うから
2万、3万もらっても
買いたたかれているという
可能性はあるよね。
業界が違うからなんとも
言えないけども。
というか、業界うんぬんより、それよりなにより、
∧∧
( ‥)1枚仕上げるのにかかった
時間が問題ですよね
(‥ )パソコン上の作業だけで
ほぼ自分の作業時間、
人件費だけで考えて良い
このような場合だと
1枚の値段を作業時間で
割れば時給が出る。
それで死ぬかどうか
そこが問題になるからね。
1万の絵を8時間で描いたら、日給は通常の1万円で考えて良い。だが、3万の絵を1週間かけて描いたら、月給は12万程度になるだろう。それも短期のバイト的状況で。
∧∧
(‥ )そういえばこの前、
\– 1枚、1000円の仕事を
しましたけども
(‥ )白黒のペン画のカット
だからね、そんなもんよな
事実、かなり速く描ける。
しかし、それでも
日給5〜7000円にもって
いくのが精一杯だったなあ。
おれ、漫画家さんみたいに
速く描けないし。
∧∧
(‥ ).....プロになれ、職人になれ、
\– いや、なるしかない、そういう意見が
見当たりますが。
(‥ )まあ、言わんとすることは
分かるけどもね。
なんと言えばいいものやら。
*本の挿絵も状況によりけりなので一概には何でもこれと同じとは言えないが、こういう現実を無視するわけにもいかない。というか、こういう現実がどこまでも追いかけてくる。そして転ぶと足をつかまれる。