2012年9月6日木曜日
最後まで、努力しました、無駄でしたが
アリストテレス「アテナイ人の国政」を読む
∧∧
( ‥)日本語版だとアリストテレス
全集17に載っている短い
論文というか、なんというか
ですね
( ‥)アテナイ市(アテネ市)の
–□ 国政の歴史を市制の始まり
から述べていくのだけど、
現状の国政では、
成人した若者に軍事教練を
ほどこす。内容は
重装歩兵としての戦術、
弓や投げ槍、
弩砲の使用方法
と書かれている
∧∧
( ‥)アリストテレスさんが”現状”
っていう時代は、もう
アテナイ市がマケドニアに
屈服した時代ですよね
(‥ )この時代はペルシャ帝国
やギリシャ諸国家同士の
争いの結果、古代ギリシャの
重装歩兵軍団偏重の戦争が
より洗練された複雑なもの
に変わっていった時代
なのよな
重装歩兵が密集した陣形を作り、ほぼ正面同士でお互いにがんがんぶつかり合うという、勇壮だが、ああ、ちょっと馬鹿っぽいよね? という戦争。それに参加することが市民の義務であり誉れであった時代と常識。しかしそれが通用しなくなる頃。
∧∧
( ‥)重装歩兵軍団って接近戦
ではほぼ無敵ですけど
倒すこと自体は比較的
容易なんですよね
(‥ )軽装備の足の速い兵士が
つかず離れず、投げ槍や
投石でチクチク意地悪く
責めればいいのよな
追っても追いつけず、引き返そうとすると狙われる。そうこうしているうちに陣形が崩れる。そこをじわじわ削っていく。重装歩兵の単独運用は過去のものになった。
軍団は重装備、軽装備、飛び道具部隊、高速移動できる騎兵、戦車、これらの組み合わせになった時代。
∧∧
(‥ )もう戦争が市民では
\– こなしきれなくなった
時代なんですよね
(‥ )それでも誉れ高い、自主自尊
自立の民主主義を貫徹する
なら市民自体を訓練する
しかない、そういうこと
なんだろうな。
∧∧
( ‥)でも、そこまでがんばっても
プロの人たち、職業軍人には
勝てませんよねえ?
( ‥)昔はさ、アテナイを始め
–□ 古典ギリシャは市民が
戦争を忌避して弱体化し
マケドニアとかローマに
征服された論とか
あったけども
∧∧
( ‥)むしろ最後までがんばって
いるっぽい?
(‥ )言い換えるとあれよな
市民軍に最後までこだわった
こと、それ自体が破滅の
理由だったりしてな。
しかし、多分、他に道はなかったのだろう。いや、あったのだが、それは軍人と軍人の頂点に立つ王による支配、歴史が実際に辿った道だった、そういうことかもしれぬ。
∧∧
( ‥)そういう意味でいうと
(‥ )自由意志とか政治家の
力量とか、そんなもの
歴史の進展にはほとんど
なんの影響も与えないの
じゃないか?
がんばればできる、と言っても眠い時は寝るよな、腹がへったら食事にいくよね。このような世界と宇宙と理の中、自由意志だの政治家の理想ごときになにほどのことができようか? 運命は確定的だ。そして努力のすべてが無駄に終わる。